フルーツゼリーをつくってみたけれど、あれ?どれだけ冷やしても固まらない!そんな経験はありませんか?今回はちょっとだけコツが必要なフルーツゼリーと白ワインゼリーのつくり方を紹介します。
ゼラチンは、おやつだけでなく料理でも大活躍!
旬の野菜を固める“テリーヌ”、魚や肉の旨味たっぷりな煮汁が固まった“煮こごり”など、フレンチや和食の世界からも、ゼラチンは引っ張りだこの人気者です。
甘い液体だけでなく、しょっぱいものまで固めてしまうなんて。
すごいぞゼラチン!ゼリーの可能性は果てしない。
固め上手のゼラチンに、向かう所敵なしですね!
「ゼラチンにも固められない天敵がいるんです」
森崎繭香さんは、さらりと言います。
「たんぱく質分解酵素が入っている食材です。代表的なところでいうと、キウイフルーツ、パイナップル、メロンです」
身近な果物に天敵が潜んでいるなんて。衝撃。
“たんぱく質分解酵素”って、何ですか?
「動物性のたんぱく質を分解してしまう酵素です。ゼラチンと混ざり合うことで、固める力をなくしてしまうのです」
ぷるぷるの誕生が阻止されてしまう……ということですね。
「レモンやグレープフルーツに含まれる酸や、アルコールでも、ゼラチンは力を発揮しにくくなります」。森崎さんは続けます。
「たんぱく質分解酵素は熱に弱いので、加熱処理をされている缶詰のフルーツでしたら問題ありません。アルコールはゼラチンのたんぱく質が水と結びつくのを少々邪魔するだけで、時間をかけて冷やせば固まりますよ」
ああ、よかった。原因がわかっていれば、しっかり固まるゼリーをつくることができそうです。
今回はフルーツの缶詰を使ったゼリーと、白ワインをじっくり冷やして固めるゼリーのふたつのレシピを紹介します。
フルーツ | 150g(缶詰のもの) |
---|---|
粉ゼラチン | 5g |
水 | 30ml(ゼラチン用) |
水 | 300ml(砂糖水用) |
グラニュー糖 | 45g |
レモン果汁 | 20ml |
ゼリーを冷やすため、大きめのボウルに氷水を用意しておく。
粉ゼラチンを水(ゼラチン用)にふり入れ、竹串で混ぜて溶かす。
粉ゼラチンの上から水を加えてしまったり、すぐに混ぜないと、ダマになってしまうので、気をつけましょう。
小鍋に水(砂糖水用)の半量とグラニュー糖を入れて砂糖水にし、中火にかける。混ぜながらグラニュー糖を溶かして、沸騰直前になったら火から下ろし、残りの水を加える。
沸騰直前(80度~90度)の砂糖水と常温(25度~35度)の水を混ぜると、ゼラチンを溶かすのに適した50度~60度になります。
1を2に加えて、溶け残りがないようにゴムベラで混ぜる。
ゴムベラでよく混ぜてゼラチンの溶け残りがないか、必ずチェックしましょう。
3にレモン果汁とフルーツを加える。
レモン汁を加えて酸味を加えます。レモンに含まれる酸もゼラチンの働きを邪魔しますが、液体量の10%以下であればちゃんと固まります。
4を鍋からボウルに移す。下準備で用意した氷水を入れた大きめのボウルを使って、5分おきに混ぜながら冷やす。
鍋よりもボウルの方が熱伝導率が高いため、短い時間で冷やすことができます。15~30分ほどでとろみがついてくると思います。
液体にとろみがついたら器に流し入れ、冷蔵庫で4時間以上冷やし固めればでき上がり!
スプーンですくったとき、ゼリー液がぶるぶるするくらい固形になれば、器に移して大丈夫です。とろみがつく前に器に注ぐと、フルーツが沈んでしまいます。
白ワイン(常温) | 300ml |
---|---|
粉ゼラチン | 5g |
水 | 30ml |
グラニュー糖 | 60g |
粉ゼラチンを水にふり入れ、竹串で混ぜて溶かす。
小鍋に白ワインの半量と、グラニュー糖を入れて中火にかける。混ぜながらグラニュー糖を溶かして、沸騰直前になったら火から下ろし、残りの白ワインを加える。
1を2に加えて、溶け残りがないようにゴムベラで混ぜる。
3の粗熱が取れたら器に流し入れる。冷蔵庫で5時間以上冷やし固めれば完成!
「冷蔵庫の開閉の頻度や冷えやすい場所など、冷蔵庫のクセによっても固まる時間は前後しますので、固まりにくいゼリーに初めてチャレンジするときは、時間に余裕を持ってつくってみてください」
1976年、横浜生まれの八王子育ち。お菓子・料理研究家/フードコーディネーター。料理教室講師、パティシエを経て、フレンチ、イタリアンの厨房で経験を積み、独立。書籍、雑誌やWEBへのレシピ提供、ラジオ・テレビ出演など幅広く活動中。身近な材料を使った自宅でもつくりやすいレシピを心がけている。2019年には、人と犬が一緒に食べられる無添加おやつとごはんのオンラインショップ「one's daily」をオープン。著書に『型がなくても作れるデコレーションケーキ』(グラフィック社)、『小麦粉なしでつくる たっぷりクリームの魅惑のおやつ』(日東書院本社)、『米粉で作る うれしい和のおやつ』(立東舎)。最新刊は『はじめてでもおいしくできる! おうちおやつ』(文化出版局)。
――明日へつづく。
文:長嶺李砂 写真:公文美和