いますぐおやつをつくりたい。昼下がりのささやかな願いは牛乳と卵あがれば、叶います。お菓子・料理研究家の森崎繭香さんに披露していただきました。
のんびり過ごしていたら、あっという間に3時のおやつの時間。
冷蔵庫には、ケーキもプリンもないけれど、おやつが食べたいな。甘い誘惑が頭をよぎれば、はやる気持ちはもう止められない。家にある食材だけで、いますぐおやつがつくりたい!
「冷蔵庫に牛乳と卵はありますか?」と、お菓子・料理研究家の森崎繭香さんは言います。
ちょうど買ってきたばかりの牛乳と卵があります!
「手づくりのカスタードクリームにチャレンジしてみませんか?」
クリーミーで、とろりと甘い魅惑の口当たりは、まさにおやつにぴったりですね!
「ほかに必要なのは、薄力粉、砂糖、塩…そしてバターです。無塩バターが好ましいのですが、ご自宅にない方も多いですよね。今回のレシピで使うバターは少量なので、有塩バターでもOKですよ」
それなら、買いものに出かけなくても準備できるかも?
でも、手づくりのカスタードクリームには、あまりいい想い出がなくて……。
「焦げる、ダマになる、生っぽいがカスタードクリームの三大失敗。鍋でつくると、失敗しやすいですよね」
大共感!火加減も混ぜ方も、何度やっても正解がわかりません。
「手軽につくるなら、電子レンジがおすすめです。加熱時間も、混ぜるタイミングも決まっているので、拍子抜けするほど簡単にでき上がります」
それならば、やってみようかな(といいつつ、まだ不安)。
「小学生くらいのお子さんなら、ひとりでチャレンジできるかも!」
よし、わたしもいい大人。お手軽カスタードクリームに挑戦だ。
「今回はカスタードクリームと一緒に、クレープも焼きましょう。ほとんど同じ材料でつくることができます。お好みのフルーツと一緒に巻いてめし上がれ」
牛乳 | 200ml |
---|---|
卵黄 | 2個 |
グラニュー糖 | 50g |
薄力粉 | 15g |
バター | 10g(食塩不使用) |
バニラエッセンス | 適量 |
耐熱ボウルに卵黄を入れて泡立て器でほぐし、グラニュー糖を加えて白っぽくなるまでよく混ぜる。
白っぽくなるまで混ぜることを“ブランシール(blanchir)”といいます。空気を含ませることで、卵の生臭さをやわらげ、火が卵黄に直接当たらないようにします。
薄力粉を入れて、粉気がなくなるまで混ぜ合わせ、牛乳を4回ほどに分けて加えて溶きのばす。
卵と小麦粉を合わせたものと牛乳は濃度が違って混ざりにくいため、少しずつ加えながら溶きのばします。細かい泡が立つくらいによく混ぜ、グラニュー糖までしっかり溶かしましょう。
600wの電子レンジで3回加熱する(1回目は3分、2~3回目は1分の計5分)。その都度いったん取り出して泡立て器で手早く混ぜて、なめらかにする。
500wの電子レンジを使用の場合は、1回目は3分40秒、2~3回目は1分10秒加熱しましょう。
バター、バニラエッセンスを加え、よく混ぜて溶かす。ラップを表面にぴったりと密着させて保冷剤をのせ、ボウルの底には氷水をあてる。あら熱がとれたら、冷蔵庫で冷やしてでき上がり。
急いで冷やすのは、卵を使用しているためです。温かいままで長く放置すると、クリームがいたみやすくなります。熱いうちに冷蔵庫へ入れると、ほかの食品がいたんでしまうので、必ずあら熱がとれてから冷蔵庫へ入れましょう。
薄力粉 | 50g |
---|---|
グラニュー糖 | 20g |
塩 | ひとつまみ |
卵 | 1個 |
牛乳 | 150ml |
バター | 15g(食塩不使用) |
サラダ油 | 適量 |
カスタードクリーム | 280g |
好みのフルーツ | 適量 |
フルーツを1cmの厚さに切る。
ボウルに薄力粉、グラニュー糖、塩を入れて泡立て器で混ぜ合わせる。中央にくぼみをつくり、卵、牛乳、溶かしたバターを加え、粉気がなくなるまで混ぜ合わせる。30分ほど生地を休ませる。
なるべく粉の中央のくぼみから牛乳が溢れないように牛乳を流し入れると、混ぜ合わせやすくなります。中心から外側へ、だんだんと大きく円を描くように混ぜます。粉の塊が少し残りますが、焼くと生地になじみます。
ぬれ布巾を用意する。フライパンにサラダ油をペーパータオルでうすく塗り広げて中火で熱し、フライパンの底をぬれ布巾にあてて冷ます。フライパンに2を60ml流し入れ、中火で焼く。
熱したフライパンをぬれ布巾で冷やすことで温度が均一になり、きれいな焼き色をつけながら上手に焼くことができます。生地が焦げ付かないように、フライパンはテフロン加工のものを使いましょう。
生地を流し入れたら、フライパンを回し、均一に広げます。玉じゃくしのおしりをやさしく押し当てながら丸く塗り広げても簡単に生地を広げられます。
生地のふちに焼き色がついて、浮いてきたら裏返す。10秒ほど焼き、まな板などに取り出す。同様に残りの3枚も焼く。
クレープは焼き色のきれいな面を下にしておき、カスタードクリーム70gとフルーツを適量のせて包む。
1976年、横浜生まれの八王子育ち。お菓子・料理研究家/フードコーディネーター。料理教室講師、パティシエを経て、フレンチ、イタリアンの厨房で経験を積み、独立。書籍、雑誌やWEBへのレシピ提供、ラジオ・テレビ出演など幅広く活動中。身近な材料を使った自宅でもつくりやすいレシピを心がけている。2019年には、人と犬が一緒に食べられる無添加おやつとごはんのオンラインショップ「one's daily」をオープン。著書に『型がなくても作れるデコレーションケーキ』(グラフィック社)、『小麦粉なしでつくる たっぷりクリームの魅惑のおやつ』(日東書院本社)、『米粉で作る うれしい和のおやつ』(立東舎)。最新刊は『はじめてでもおいしくできる! おうちおやつ』(文化出版局)。
――つづく。
文:長嶺李砂 写真:公文美和