おやつの時間ですよ。
オレンジゼリーがぷるぷるになる理由。

オレンジゼリーがぷるぷるになる理由。

ゼラチンのことを知れば、ゼリーはおいしく固まります。粉ゼラチンと板ゼラチンを使って果汁100%オレンジジュースのぷるぷるゼリーをつくりましょう。

ゼリーが固まらなかったとき、どうする?

ゼリーが固まりません。
ジュースにゼラチンを溶かして、冷蔵庫で冷やすこと2時間。待てど暮らせど、悲しく波打つゼリーの水面。
レシピに書いてある通り、温かいジュースにゼラチンを溶かしたのに……。
なんで固まらないの?

教えてください森崎繭香さん。

お菓子・料理研究家の森崎繭香さんが教える、失敗しないお菓子づくり。今日からゼリーシリーズが始まります!
お菓子・料理研究家の森崎繭香さんが教える、失敗しないお菓子づくり。今日からゼリーシリーズが始まります!

「失敗の原因は、温度管理にあります!」
森崎さん、きっぱりと答えます。


「ゼラチンは高い温度の液体に溶かせばいいわけではないんです。適切な温度で溶かさないと上手に固まりません。ゼリーづくりは、まずゼラチンのことを知ることから始めましょう」

液体であれば、セラチンで固めてゼリーにすることができます(全部とは言えませんが)。ぜひ、試してみてください!
液体のほとんどは、セラチンで固めてゼリーにすることができます。ぜひ、試してみてください!

ゼラチンのことを知る?
何度も耳にしたことがある言葉だけれど、確かにゼラチンのことはよくわかっていなかった。
森崎さん、ゼラチンのこと、もっと教えてください!

「ゼラチンには、“粉ゼラチン”と“板ゼラチン”があります」
あっ、それは、なんとなくわかります。スーパーでよく見かけますよね。
いったい、何が違うんでしょう?
「それぞれ用途が違います。粉ゼラチンは、g単位で量を調節できるのが良いところです。少量をつくる家庭でのお菓子づくりに向いてます。板ゼラチンは固形なので計量が簡単。大量にお菓子をつくるパティシエなどのプロが使うことが多いですね。どちらも50度~60度の液体に加えると、きれいに溶けるという性質は同じですよ」

左が板ゼラチン。右が粉ゼラチン。ゼリーづくりに欠かせないゼラチンは、動物の骨や皮に多く含まれる、“コラーゲン”というたんぱく質に熱を加えて抽出したもの。
左が板ゼラチン。右が粉ゼラチン。ゼリーづくりに欠かせないゼラチンは、動物の骨や皮に多く含まれる、たんぱく質の“コラーゲン”に熱を加えて抽出したもの。

でもね、と森崎さんは続けます。
「70度以上の液体にゼラチンを溶かすと、コラーゲンが変質してもったりとした脂のような匂いを放つんです」
さらに、と森崎さんは言います。
「沸騰している液体に溶かすと、コラーゲンが分解されてしまって、ゼリーが固まらないなんてことにもなります」

なるほど。せっかくゼリーをつくったのに、うまく固まらなかったのは、液体の温度が高すぎたんですね。
「そうとも言い切れないんです。温度が50度以下でも、ゼラチンのコラーゲンは溶け残って、うまく固まりません。ゼラチンと上手く付き合うコツは、温度管理にあるんです」

ゼラチンが温度に敏感なんだということは、わかりました。厄介ですね、ゼラチンは。
「こう考えたらどうでしょう。ゼラチンは、50度~60度の液体に加えて、しっかり混ぜて溶かす。このことさえ、しっかり守れれば、ゼリーづくりの失敗は大いに減ります。簡単じゃないですか?」

ぷるぷるで喉ごしの良いゼリーをつくるには、ゼラチンを適切な温度で溶かす必要があります。
ぷるぷるで喉ごしの良いゼリーをつくるには、ゼラチンを適切な温度で溶かす必要があります。

温度を測りながらつくれば難しくないのですが、今回はより簡単で失敗しない方法を森崎さんが披露します。
粉ゼラチンと板ゼラチンは液体に溶かす方法が違うので、それぞれを使ってゼリーをつくってみましょう。

粉ゼラチンを使ったオレンジゼリーのつくり方

材料材料 (3人分)

果汁100%オレンジジュース300ml
粉ゼラチン5g
30ml
グラニュー糖30g
材料

下準備

オレンジジュースを常温に戻しておく。

1 粉ゼラチンを溶かす

粉ゼラチンを水にふり入れ、竹串で混ぜて溶かす。

粉ゼラチンを溶かす
粉ゼラチンを溶かす
粉ゼラチンを溶かす

粉ゼラチンの上から水を加えてしまうと、ゼラチンはダマになってしまいます。気をつけましょう。

2 ジュースを温める

小鍋にオレンジジュースの半量と、グラニュー糖を入れて中火にかける。混ぜながらグラニュー糖を溶かして、沸騰直前で火から下ろし、残りのオレンジジュースを加える。

ジュースを温める
ジュースを温める

沸騰直前(80度~90度)のオレンジジュースと常温(20度~35度)のオレンジジュースを混ぜると、50度~60度になります。こうすれば、温度計がなくてもゼラチンをうまく溶かせます。

3 ゼラチンを溶かす

1を2に加えて、溶け残りがないようにゴムベラで混ぜる。

ゼラチンを溶かす
ゼラチンを溶かす

ゴムベラにポツポツと付くのは、溶け残りのゼラチンです。もしゼラチンの塊を見つけたら、そっとすくいあげてください。濾し器に擦り付けるようにして、液体に溶かし込めば、食感のムラなく仕上がりますよ。

4 冷やし固める

3の粗熱が取れたら器に流し入れ、表面の気泡を取り除く。冷蔵庫で4時間以上冷やし固めれば完成!

冷やし固める
冷やし固める

冷蔵庫に入れるときに液体に気泡が浮いていると、その形のまま固まってしまいます。スプーンなどで取り除いてあげましょう。

りんごジュースを使えば、りんごゼリーに。ぶどうジュースならぶどうゼリーができ上がります。ぜひ、自分好みのジュースでつくってみてください。
りんごジュースを使えば、りんごゼリーに。ぶどうジュースならぶどうゼリーができ上がります。ぜひ、自分好みのジュースでつくってみてください。

板ゼラチンを使ったオレンジゼリーのつくり方

材料

材料材料 (3人分)

果汁100%オレンジジュース300ml
板ゼラチン5g
グラニュー糖30g

下準備

オレンジジュースを常温に戻しておく。
板ゼラチンは冷水(分量外)に5分ほど入れて、ふやかす。

板ゼラチンをふやかす。

板ゼラチンをふやかす水が20度以上だと、溶けて出してしまうので冷水または氷水に入れましょう。

1 ジュースを温める(粉ゼラチンと同じ)

小鍋にオレンジジュースの半量と、グラニュー糖を入れて中火にかける。混ぜながら温めて、沸騰直前になったら火から下ろし、残りのオレンジジュースを加える。

2 ゼラチンを溶かす

ふやかした板ゼラチンの水気を手で搾る。板ゼラチンを鍋に入れ、よく混ぜて溶かす。

ゼラチンを溶かす
ゼラチンを溶かす

板ゼラチンの水気は手でギュッと握って、できるだけしっかり搾りましょう。水気を含んだ板ゼラチンを加えると、水分量が増えて、ゼリーの仕上がりが変わってしまいます。

3 冷やし固める(粉ゼラチンと同じ)

2の粗熱が取れたら器に流し入れ、表面の気泡を取り除く。冷蔵庫で4時間以上冷やし固めれば完成!

粉ゼラチンと板ゼラチンは、同じ分量でつくると、板ゼラチンのほうが若干やわらかめに仕上がります。
粉ゼラチンと板ゼラチンは、同じ分量でつくると、板ゼラチンのほうが若干やわらかめに仕上がります。

教える人

森崎繭香

森崎繭香

1976年、横浜生まれの八王子育ち。お菓子・料理研究家/フードコーディネーター。料理教室講師、パティシエを経て、フレンチ、イタリアンの厨房で経験を積み、独立。書籍、雑誌やWEBへのレシピ提供、ラジオ・テレビ出演など幅広く活動中。身近な材料を使った自宅でもつくりやすいレシピを心がけている。2019年には、人と犬が一緒に食べられる無添加おやつとごはんのオンラインショップ「one's daily」をオープン。著書に『型がなくても作れるデコレーションケーキ』(グラフィック社)、『小麦粉なしでつくる たっぷりクリームの魅惑のおやつ』(日東書院本社)、『米粉で作る うれしい和のおやつ』(立東舎)。最新刊は『はじめてでもおいしくできる! おうちおやつ』(文化出版局)。

――明日につづく。

文:長嶺李砂 写真:公文美和

長嶺 李砂

長嶺 李砂 (ライター・編集者)

1984年、青森県十和田市生まれ。子供時代の夢だったパティシエになるも紆余曲折、今は主に書籍を手がける編集者。食や暮らしにまつわる企画に関わることが多い。『スパイスでおいしくなるand CURRYのカレーレッスン』(立東舎)、『2LDK、5人家族。』(光文社)、『5つの味つけ黄金比』(学研プラス)、『おつかれさまスープ』(学研プラス)などの編集に携わる。東京都・若林にある青森の地酒と郷土料理の店『酔処みね』で、木曜日に働いています!