
宮崎名物の“チキン南蛮”は、卵を衣にして揚げた鶏肉に甘酢をからませ、たっぷりのタルタルソースと一緒に食べる、揚げ物の傑作。麻布十番「仙台坂ひむか」店主の柴田和幸さんに、人気メニューでもあるそのレシピを聞きました。ごはんのおかずにはもちろん、芋焼酎のつまみにも最高です!
“チキン南蛮”は、宮崎県延岡生まれの郷土料理です。
いまや宮崎の家庭料理の一つになっていますが、もともとは洋食屋さんのメニューで、鶏のもも肉などをそのまま大きく揚げて、ナイフとフォークで食べる料理です。
うちは箸で食べていただく店なので、食べやすく切って、揚げています。見た目は鶏のから揚げにマヨネーズをかけたようにも見えますが、から揚げとは違うものなのです。鶏に小麦粉をまぶして、溶き卵をからませて揚げます。卵でふわふわとした衣に仕立てて甘酢をまとわせる。これがこの料理の肝です。
タルタルソースはたっぷりと。タルタルは、ピクルスなどの酸味を加えないシンプルな味が、甘酢とあいまって鶏肉の味を引き立ててくれます。
宮崎出身の方がみえるとすぐにわかりますね。“チキン南蛮”にごはんを注文されるからです。
もともとはごはんのおかずなんです。もちろん芋焼酎にもよく合いますけどね。
| タルタルソース | |
|---|---|
| ・ 玉ねぎ | 50g |
| ・ 卵 | 1個 |
| ・ マヨネーズ | 100g |
| ・ 塩 | ひとつまみ |
| ・ 黒胡椒 | 少々 |
| ・ 酢 | 小さじ1 |
| 甘酢 | |
| ・ 酢 | 70ml |
| ・ 淡口醤油 | 36ml |
| ・ 砂糖 | 30g |
| 鶏もも肉 | 2枚(約500g) |
| 卵 | 1個分 |
| 小麦粉 | 適量 |
| 塩 | 適量 |
| 黒胡椒 | 適量 |
| 油 | 適量 |
玉ねぎは細かいみじん切りにし、ボウルで受けたざるに入れて流水にさらす。
卵はゆで卵にする。すりおろすので、固ゆでに。

水にさらした玉ねぎを布巾で包んで搾り、水けをよく切ってボウルに入れる。ゆで卵を大根おろし器ですりおろし、マヨネーズ、塩、黒胡椒を加えて混ぜ合わせる。酢を加えて、ソースのやわらかさを調整したら、冷蔵庫に入れて数時間ねかせる。


小鍋に材料を入れ、ひと煮立ちさせてボウルに移す。

鶏もも肉は、1枚を7つ程度の大きさに切り、塩、黒胡椒をふる。ボウルで溶き卵をつくり、小麦粉をまぶした鶏肉にもみ込む。

3の鶏肉を170度に熱した油で揚げる。5~7分が目安。

揚げたての鶏もも肉に2の甘酢をからませる。

皿に盛り、タルタルソースをたっぷりとかけてでき上がり。


「仙台坂ひむか」主人。宮崎出身。麻布十番に2000年にオープン。宮崎の郷土料理である“チキン南蛮”や“冷や汁”などのほか、旬の食材を使った洗練された和食を、居酒屋感覚で楽しめる。芋焼酎と日本酒も充実している。

文:安井洋子 撮影:三浦英絵