『技あり!dancyu』シリーズの最新号は酢がテーマ。蒸し暑い季節にさっぱりした酢の味は魅力的ですが、それだけではありません。料理にコクや深みを醸し出す、臭みを消す、肉をやわらかくするなど「酢力」はスゴイのです。
酢というと、まず浮かぶのは鮨。でも、実は逆なのです。日本に酢があったからこそ、鮨が江戸で開花したのです。「技あり!dancyu お酢」は、食文化史研究家の飯野亮一さんの江戸の鮨についての解説から始まり、江戸時代の酢料理、さらに現代の食卓で大活躍まちがいなしの酢料理の計82品を掲載。健康面はいうに及ばず、料理の味わいもワンランク上に仕立ててくれる酢を、積極的に使いましょう。
酢には、さまざまな効果があります。その効果を上手につかって料理することで、毎日、無理なく酢を摂取できますし、なによりも料理がおいしくなります。「豚バラ肉の酢煮」は、酢の短時間で肉をやわらかくする働きを利用した一品。通常の角煮よりも煮込み時間を大幅にカットできる上に、コクとさっぱりを両立させています。
豚バラ肉 | 600g(塊) |
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れんこん | 2節(約280g) |
サラダ油 | 少々 |
酒 | 大さじ3 |
酢 | 2/3カップ |
水 | 1カップ |
にんにく | 1片 |
生姜 | 小1片 |
赤唐辛子 | 2本 |
砂糖 | 大さじ2 |
醤油 | 大さじ4 |
豚肉は4cm角に切る。フライパンにサラダ油を熱して豚肉を入れ、中火で全体を焼きつける。
豚肉の余分な脂をペーパーでとってから鍋に移し、にんにく、生姜、赤唐辛子を入れて酒をふり、酢、水を加えて火にかける。煮立ってきたら、火を弱めて30分ほど煮る。
れんこんは皮をむいて縦半分に切り、幅1.5~2cmの半月切りにして水でさっと洗い、水気をきる。鍋にれんこんを加え、煮立ってきたら砂糖、醤油を加えて混ぜ、蓋をして20分ほど煮て完成。
シンプルながら失敗なくつくれるレシピに定評がある料理研究家。特別な素材、調味料は使わず、余分な手間はそぎ落とした”引き算の料理”が身上。酸っぱすぎる料理は苦手。
写真:原ヒデトシ/野口健志