東京・荒木町にある「南方中華料理 南三(みなみ)」店主の水岡孝和さんに、ごはんのおかずにも、お酒のアテにもなる、マーブル模様のたまご料理を教わりました。
「27歳のとき、初めての台湾でコンビニに立ち寄った際、店全体に漂うもの凄い匂いにびっくりして、匂いの元を辿っていったらこれだったんです」。そう言いつつ、水岡孝和シェフが差し出したのが、ご覧の茶葉卵。台湾では国民食的な食べ物だ。
シェフも台湾での語学留学時代、よく買って食べていたそうで「ちょっといい茶葉を使えば、もっと美味しい茶葉卵がつくれるんじゃないかなと思った」。
早速、「南三」流にアレンジ。まず、茶葉も食べられるよう、お茶として飲んでも美味しい上質な鉄観音茶を使用。香辛料も定番の八角、桂皮に加え、レモングラスなど爽やか系の香りをプラス。さらに豚や鴨、鶏のガラを合わせたスープも加え、旨味を増している。とはいえ、家庭ならスープの素で十分。香辛料も手に入る範囲で問題ない(すべての香辛料を手に入れることが難しい場合は、八角、桂皮、陳皮だけでもオッケー)。
また、この煮汁、手羽元や豚肩ロース等の煮込みにもぴったり。たまごと煮込めば、肉から出る旨味でスープの素は不要。これでごはんのおかずも一緒に出来上がるので、まさに一石二鳥!
冷蔵庫で4~5日は持つそうだから常備菜としても活躍してくれるだろう。
卵 | 10個 |
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煮汁 | |
・ 鉄観音茶葉 | 10g |
・ 水 | 2l |
・ 塩 | 50g |
・ 醤油 | 大さじ2 |
・ 中国たまり醤油 | 大さじ1(日本のたまり醤油でも可) |
・ グラニュー糖 | 40g |
・ 鶏ガラスープの素 | 大さじ1 |
・ 紹興酒 | 小さじ1 |
香辛料 | |
・ ローリエ | 大3~4枚 |
・ レモングラス | 2本 |
・ カー | 25g(生姜でも可) |
・ 八角 | 8個(8g) |
・ 桂皮 | 2本(10g) |
・ 陳皮 | 5g |
・ 甘草 | 7g |
・ 草果 | 2個 |
香菜 | 適量(盛り付け用) |
鍋に水(分量外)と卵を入れて強火にかける。沸騰したら弱火にし、10分ゆでる。ゆで上がったら、氷水に放ち、急冷させる。こうすると、殻がむきやすくなる。スプーンの裏で軽くトントンとゆで卵を叩き、殻にヒビを入れる。
鍋に煮汁の材料をすべて入れて火にかける。沸騰したら火を止め、そのまま一晩置いて冷ます。急ぐ場合は、沸騰した後、火を弱め、蓋をして30分ほどコトコト煮ると良い。できた煮汁に1のゆで卵を入れ、火にかける。
沸騰させない程度の温度で、フツフツと10分ほど煮たら火からおろし、常温に戻す(約50分)。この作業を10回程度繰り返す。冷ます間に徐々に煮汁がしみ込んでいく。
殻をむいて、ヒビの模様がきれいに出ていたら完成。一緒に手羽元などを煮込んでおくのもお薦め。茶葉は佃煮としてそのまま食べても美味しい。ごはんが進むこと間違いなし。
茶葉とともに器に盛り、煮汁をかける。最後に香菜を添えて、完成!
「南方中華料理 南三」店主。子供のころ見たTV番組「料理の鉄人」に出演していた陳建一さんに憧れて、中華の世界へ。「御田町 桃の木」、「黒猫夜」、「蓮香」などを経て2018年に独立。
dancyu5月号ではこのほかにも、「傅」の長谷川在佑さんや料理家の坂田阿希子さんなどの、つくり続けてきたたまごレシピを紹介しています。ぜひご覧ください!
文:森脇慶子 撮影:宮濱祐美子