炒め物の味が決まらない、揚げ物が油っこいなど、調理中に困ったことはありませんか?「dancyu料理予備校」では、TV「きょうの料理」や「あさイチ」でおなじみの斉藤辰夫先生を講師にお迎えして、基本的な調理のコツと手順を習いました。
パスタやチャーハンならなんとかなるかもだけれど「和食?ムリムリ」と、のっけから尻込みしている料理ビギナーのあなたに、くっと救いの手を差し伸べてくれるのは、斉藤辰夫先生のこのひと言。「和食は、慣れた人のほうが逆に失敗しやすいこともあるんです」。
手抜きをし、計らず適当に仕上げたら、それは和食店の料理ではなく家庭料理。「やっぱり目分量だけでは怖い。僕でもある程度は計りますから」。素材を生かし、限られた調味料で味を決める、繊細な料理だからこそ、ひとつひとつの手間と手順に意味があるという。「要はそれが、日本の特徴です。お茶やお花もそうですが、ひとつのことをやらないと次に行けない。『こんなん先にやっとこか』『ここは飛ばしたってええよね』 という自己判断は禁物なんです」。
ここではレシピを通して「揚げる」「煮る」といった基本的な調理のコツと手順をご紹介。「ここにある通りにすれば、 8〜9割はいけます」。 じゃあ、あとは 「繰り返すこと。 絵の具を塗り重ねるように何回もつくることで、仕上がっていきますから」。そんな先生の言葉を信じてやるしかない。よっしゃー!
牛肉 | 200g(こま切れ) |
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木綿豆腐 | 1丁(350g) |
玉ねぎ | 1/2個(140g) |
細ねぎ | 2本 |
水 | 400ml |
酒 | 50ml |
昆布 | 1枚(3cm角) |
砂糖 | 大さじ2 |
醤油 | 大さじ3 |
サラダ油 | 小さじ2 |
豆腐は12等分する。キッチンペーパーで挟んでバットをのせ、500mlのペットボトルで重石をして、約10分水切りする。
鍋にサラダ油を中火で 熱し、全体が白っぽくなるまで牛肉を炒める。そこへ薄切りにした玉ねぎを加えてさらに1〜2分炒める。
水と酒を加える。昆布を投入し、沸いたらアクを一気に取る。砂糖、醤油を加えて落とし蓋をし、2〜3分煮る。
肉を寄せ、空いたところに豆腐を入れる。落とし蓋をして、弱めの中火で8~10分煮る。コトコトと沸くような火加減で煮れば、少なめの煮汁でも鍋中を対流し、全体に味が回る。
器に盛り、煮汁をたっぷりと注ぎ、 小口切りにしたねぎを散らす。
1957年大阪府生まれ。大阪あべの辻調理師専門学校を卒業後、エコール辻東京で専任教授を務める。現在は東京・国立で料理教室を開く傍ら、メディア出演や講演もこなす。著書に『おいしい和食の大事典200』(成美堂出版)、『斉藤辰夫のいちばんかんたんな和食』(NHK出版)など多数。
dancyu2月号の「dancyu予備校」では、この他にも揚げる、炒める、とじる、漬けるを習っています。読めばあなたも料理上手になれます!ご覧ください。
文:山村光春 写真:豊田朋子 スタイリング:渡邊美穂