
食いしん坊倶楽部のLINEオープンチャット「dancyuおやつ倶楽部」で、メンバーから寄せられた美味しいおやつをご紹介! 第62回は、みずみずしい杏の生ゼリーをひとくちサイズの最中に忍ばせた、「利久堂」の「あんず姫」です。

「銘菓」とは、その土地の風土や素材に深く結びついた菓子をそう呼ぶが、まだまだ知らない銘菓ってあるものだな、と素直に感心したのが、信州の「あんず姫」だ。
ひとくちサイズの最中に、長野県産の杏を使った甘酸っぱい杏ゼリーを詰めた、シンプルな銘菓。これが思いのほかおいしく、もうひとつ……と手が止まらない。
いわゆるゼリーの部分は、杏と砂糖、寒天のみで作られる錦玉で、杏そのものを思わせる美しいオレンジ色に、果肉が透けて見える、涼やかな断面。
聞けば、杏は旬を迎える初夏に収穫し、干して旨みを凝縮。国産の寒天とともに丁寧に錦玉羹を仕立て、最中へ詰め、食べやすく帯を巻き、袋詰めにするのも、すべて手作業で行われているという。

信州銘菓「あんず姫」を味わえば、「利久堂」が“杏菓子本舗”を掲げる理由にも納得だ。
昭和33年の創業以降、もう一つの名物「ゆきげ杏」をはじめ、「杏乃森」や「しそ巻杏」、「杏ようかん」など、長野県産の杏を使った商品を数多く生み出している。
長野を訪れた際は、地の味わいを求めて店に立ち寄ってみるのはもちろん、日持ちする「あんず姫」は、ちょっとしたお茶請けとして取り寄せてみるのもいい。ひと口で、信州の杏に出合える銘菓である。


文:藤井存希 写真:MURAKEN 協力:UTSUWA