
食いしん坊倶楽部のLINEオープンチャット「dancyuおやつ倶楽部」で、メンバーから寄せられた美味しいおやつをご紹介! 第58回は、創業100年を目前にする名店「御菓子処 さゝま」の「松葉最中」です。

神保町は駿河台下。交差点にほど近く、書店や喫茶店とともに、この街に息づいてきた「御菓子処さゝま」。昭和4年(1929年)に神田小川町で「ササマパン店」として開業し、その2年後には現在の場所で和菓子処の暖簾を掲げた、創業100年を目前にする名店である。
看板は、見るからに品のいい、小ぶりで薄皮の「松葉最中」。手に取った瞬間に皮がふわっと香り、歯を入れるとすぅっと軽い。けれど印象に残るのは、餡のなめらかな口どけ。
雑味のない鬼双糖を使用した餡は、一晩浸水させて丁寧に漉した天然の糸寒天を加えることで、餡の水分を抱え込み、しっとり感を保ちながら、最中の皮の食感を引き立てる。
小さな「松葉最中」に、きちんと満たされ、職人の手仕事に焦がれる瞬間だ。

「今日のお菓子です。」
「御菓子処さゝま」のX(旧Twitter)では、そんなひと言とともに、季節の和菓子を日々、写真で紹介している。
見れば、昔ながらのショーケースに、彩り豊かな生菓子が並び、その傍らに「松葉最中」もちょこんと鎮座する。茶道にも用いられる季節の菓子を引き立てながら、不動の人気を誇る「松葉最中」の存在感たるや。神保町を訪れたなら、本や喫茶の余韻とともに、そっと連れ帰りたくなる小さな銘菓である。

文:藤井存希 写真:MURAKEN
実は私自身、あんこはそれほど得意ではないのですが、こちらの最中は別格で、近くへ行くと必ず立ち寄ります。平日でも、お持たせを求めるお客さんがひっきりなしに訪れているのも納得の美味しさです。