
2026年日本酒dancyu「出会えてよかった!心ふるえる酒」特集では、dancyuを長年支えてくれている酒のプロや愛飲家の皆様に、個人的な推し酒をジャンルレスに聞いてみました。いずれも「ぜひ飲んでみて!」と推薦者が熱く語ってしまうチャーミングな酒ばかり。今回は、大原千鶴さん(料理研究家)の偏愛酒、「日日」をご紹介します。
京都・伏見は歴史ある銘醸地で、私にとってはなじみのある酒処。その多くはやさしくてやわらかな味わいに特徴があると言われています。「日日」も甘さや香りがあり、アルコール度数は低めで、すーっと入ってくるようなきれいな飲み口。ただ生酛造りということもあってそれだけではなく、味に奥行きがあり、奥底には骨太系の強さとは違ったキラッと光る鋭さみたいなものを感じます。それをダイレクトに主張しない奥ゆかしさ……京都やなあと思います。
飲みやすいうえに、飲み飽きしないので、気づけば一人で一本空けてしまっていて……(汗)。京都の水で造られていることや、京都の風土や食文化にも通じている方が造ってはるからでしょうか。私の料理や好みとフィットし、飲み疲れしないんです。心地よい余韻があって、昆布ベースの京都のおだしにも合いますね。
日頃から、お酒は最後の調味料で、料理をもう一段階おいしくしてくれるものだと思っているのですが、「日日」はまさにそれ。慈しみながら、料理を引き上げてくれる同郷の友のような存在です。(談)


構成:西村晶子 撮影:エレファント・タカ