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【もしかして痛風?発症する前に知っておきたいこと①】痛風はなぜ起こる?食と酒の誤解にせまる

【もしかして痛風?発症する前に知っておきたいこと①】痛風はなぜ起こる?食と酒の誤解にせまる

「風が吹いても痛い」といわれる痛風。なんとなく気にする人は多くても、実は発症のメカニズムや原因、対処法などについて、あまりきちんと知られていないのが実情では?どんな人がかかりやすい?やっぱり犯人はプリン体?など、食いしん坊には気になるところ。痛風のウソとホントについて、食いしん坊倶楽部メンバーで医師の三浦雅臣さんにうかがいました。

そもそも痛風ってどんな病気?

痛風は、正確には「高尿酸血症」という病気の症状のひとつで、正しくは「痛風関節炎」といいます。
高尿酸血症は文字通り、血液中の「尿酸」の量が増えすぎてしまう病気です。一般的には、血液中の尿酸が7.0mg/dlを超えると高尿酸血症と診断されます。
尿酸というのは、細胞の新陳代謝の際に発生するプリン体が、肝臓で分解されてできる老廃物のことで、通常は水に溶けて尿や便で排出されます。健康な人は、尿酸がつくられる量と排出される量のバランスがとれているのですが、尿酸がつくられすぎたり、うまく排出されなかったりして過剰になり、それが結晶化して、関節などの組織にたまると激しい痛みを伴う炎症を起こします。これがいわゆる痛風です。多くの場合、足の親指のつけ根が赤く腫れて熱を持ち、強い痛みが出ます。この発作は24時間ほどでピークに達し、1〜2週間で自然に治まります。
痛風は中年以降の男性の病気というイメージがありますが、20〜30代でかかる人も少なくありません。肥満の人は痛風を患う可能性が高いのですが、やせていても痛風にかかる人はいます。また患者さんはほとんどが男性です。女性でも尿酸値の高い人はいるにはいるのですが、ホルモンの関係なのか多くはありません。

痛風の一番の原因は?

痛風と聞けば、すぐにプリン体という物質を連想する人も多いでしょう。プリン体は肉類や内臓類、魚介類などに含まれる物質で、前述の通り、痛風と密接な関わりがあります。最近ではよく「プリン体ゼロ」をうたったビールなどを見かける機会も増えましたが、食事でプリン体をとらないように気をつければ、痛風は回避できるのでしょうか。
実は尿酸を作り出すプリン体は、生命活動に必要な細胞の構成成分で、常に体内でつくられ続けています。食品から取り込まれるプリン体は2〜3割程度で、あとの7〜8割は体内で合成されます。痛風の原因は食べもの、飲みものでとるプリン体よりも、尿酸がたまりやすい、排出されにくいなど体質や遺伝が大きく関わっているといえるでしょう。つまり、家族に痛風にかかっている人がいるのであれば、高尿酸血症にかかる可能性が高いかもしれないということです。不安がある人は血液検査などで定期的に自分の状態をチェックしておくとよいでしょう。血液検査で問題なしであれば、基本的には痛風の心配をする必要はありませんが、尿酸値が高めで、足の親指のつけ根あたりが腫れてきたり、むずむず、チクチクするなどの違和感(夜間に感じやすい)がある場合は、痛風の可能性大です。早めに医療機関を受診しましょう。

魚卵やアルコールも無関係ではない

それなら自分は関係なさそう!と、ちょっとほっとしている人もいるでしょうか?
安心はできません。体質や遺伝の要素が大きいとはいえ、外食が多く、プリン体を多く含む食品を食べる機会が多い人や、肥満の人、アルコールの摂取量が多い人などは、尿酸の合成が高まったり、排出が減って体内にたまりやすくなったりすることは考えられます。血液内の尿酸値が高い状態が続いても、自覚症状はありません。放っておけば、痛風はもちろん、腎臓に負担がかかり、尿路結石や腎臓病の原因にもなります。家族に痛風の患者はいないから……と好きなだけ食べたり飲んだりしてOKということでもなさそうです。

痛風は体からの“サイン”

すでに健診で高尿酸血症と診断されてしまった人も、それほど悲観的になることはありません。痛風は「体からのサイン」と考えるといいと思います。これを機に生活を見直して、尿酸が過剰にたまらないように気をつけていけばよいのです。今は薬での治療も可能です。

人間を含む一部の動物は、尿酸を体内で分解することができません。しかし、それは尿酸自体に抗酸化作用という身体にとって良い作用があり、あえて体内で分解されないように進化してきた、とも言えるかもしれません。高尿酸血症や痛風の話をするとどうしても尿酸は厄介者にされてしまいますが、長い人類の歴史の中では、強力な抗酸化物質として紫外線による皮膚のダメージから身を守るという役割を尿酸が果たしてきたことで、私たちは生きながらえることができてきたのです。2014年のイギリスの研究で、痛風を持った人は、痛風を持たない人と比べて24%ほどアルツハイマー病になりづらいという意外なデータもあります。上手につき合っていくことが大切なのではないかと思います。

次回は、痛風と上手につき合うためのヒントについてお話しできればと思います。

教える人

三浦 雅臣先生

東京大学医学部附属病院 糖尿病・代謝内科 助教。2014年東京大学医学部医学科卒業。2021年東京大学大学院医学系研究科博士課程修了・卒業。糖尿病や肥満症の研究を専門に、最近では老化や睡眠、味覚についても探究を深める日々。

編集:出口雅美(maegamiroom) 文:久保木 薫 写真:Shutterstock

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