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【湯河原のおいしいロカボ①】老舗料理旅館「石葉」で味わう、低糖質の常識を覆す充実の朝食

【湯河原のおいしいロカボ①】老舗料理旅館「石葉」で味わう、低糖質の常識を覆す充実の朝食

東京から東海道線で揺られること一時間余り。歴史ある温泉地・湯河原がいま、おいしいもの×旅に加えて、「ロカボ」をキーワードに盛り上がっている。山や海に囲まれ、豊かな自然があるからこそ味わえる、“引き算”のおいしさを編集部員が体験しました。

編集部員が湯河原で出会った“おいしいロカボ”

「いま、湯河原では“ロカボ”でおいしく楽しめるのでぜひ来てください!おいしくて健康的な一日を過ごせますよ」と熱く語るのは東京と湯河原で二拠点生活を送るフードナビゲーターの柴田香織さん。そこで、編集部員のオリシキデが湯河原で朝食、昼食、夕食とおまけに間食までを体験してきました!

ロカボとは、極端に糖質を制限するのではなく、おいしく楽しく適正糖質を摂ることを目的とした食事法。「食・楽・健康協会」が提唱する数値目標としては、1食あたり20〜40g、合計1日70〜130gの糖質量を目安とし、タンパク質や脂質はしっかり摂る。これにより食後高血糖を抑え、ダイエットや健康管理に効果が期待ができるという。

湯河原にいる間は、常に“リブレ2”という血糖値測定器を装着。リアルタイムで自身の血糖値の変化を見られる機械で(恐ろしい)、湯河原での食事ではどのように変わったかをリポートします。

名門旅館から、ロカボ旅は始まる

外観
2025年で創業60年を迎えた老舗旅館。湯河原駅から車で10分ほどの場所にあり、一帯は自然に囲まれていて非日常を堪能できる。宿泊の際は朝食と夕食の両方が付き、ロカボのコースはどちらも対応している。料金は7万9,350円~(一名)。

湯河原でもひときわ長い歴史を誇る名旅館、「石葉」。ロカボ仕様の朝食は、正直まったく“低糖質である”という制約を感じなかった。旅館の朝食らしい端正なおかずが並び、炊き立てご飯の香りがふわりと立ち上る。
ただ、料理長である森田仁さんに話を聞いてみると数々の工夫がしっかりと垣間見えた。

たとえば、ご飯は普段使用している甘味の強いミルキークイーンの白米の替わりにコシヒカリの玄米にしていることで、食物繊維の量や咀嚼する回数を増やすことができ、血糖上昇を抑えている。牛の時雨煮は煮汁に使用する砂糖をラカントで代用。ラカントは、ウリ科植物の羅漢果(らかんか)から抽出された天然甘味料で、糖質を抑えて甘味はそのまま。ロカボには最適な調味料だ。

「寒い時期の定番」だという湯豆腐は、昆布でだしをひいて、さらに醤油をだしで少し割ることで塩味を抑えている。

朝食
さまざまな工夫で糖質を抑えつつ、昆布だしをひいて塩味を抑えている。一般的な旅館の朝食と変わらないか、それ以上の充実感がありつつ健康的に一日を始められる。
牛の時雨煮
牛の時雨煮はしっかり濃いめの味付けでご飯が進む。通常はもっとくたくたになるまで煮るがロカボ仕様では浅めの煮具合で歯ごたえを残している。仕入れによって使う肉は変わる。この日は宮崎産の和牛サーロイン。動物性油脂も血糖値の上昇を抑えてくれる。
湯豆腐
湯河原の名豆腐店「十二庵」のものを使った湯豆腐。豆腐のやわらかな旨味が広がる。3月ごろまで提供。大豆は優秀なロカボ食材だ!

だしによる引き算の美学で、素材のポテンシャルを引き出す

だし巻き、ひろすと大根の炊き合わせ、アジの干物焼き
左手前から時計回りにだし巻き、ひろすと大根の炊き合わせ、アジの干物焼き。通常の食事ではだし巻きではなく厚焼き玉子を提供しているが、「厚焼きだと砂糖を使用するので、だしの旨味を引き立たせました」と森田さん。

続いて出てきたのは、だし巻き、焼き物、炊き合わせ。
だし巻きは地元の山惠園という養鶏場のたまごを使用し、鰹だしによる香りと旨味が朝の胃袋に心地よい。焼き物は地元の真鶴や伊豆、伊東で獲れる旬な魚を地元の鮮魚店で干物にしてもらい、食べやすいように骨は一切残していない。炊き合わせはひろすと大根。地元の人気豆腐店「十二庵」の豆腐を使用したひろすは、煮干しのだしで味の輪郭をはっきりさせている。

いずれも地元食材の持ち味を生かし、味つけを抑えることでむしろそのよさを引き出している。満足感の高さは、だしを主軸にした引き算の調理法から。単なる低糖質では得られないだろう充足感が広がっていた。

通常、食べた食材の血糖値は30分から一時間後に反映される。普段は食前と食中で30mg/dLほど上昇していたところ、アプリで血糖値を見てみると、「石葉」の朝食では食中もほとんど上昇せず、一時間後には平時と同じぐらいまで下がっていた。早速ロカボの凄さを実感した。

静謐と贅沢。相反する二つが生む魅力とは――

左が代表の小松秀彦さん、右は料理長の森田仁さん
左が代表の小松秀彦さん、右は料理長の森田仁さん。「石葉」は小松さんの祖母である小松民枝さんが創業した。森田さんはロカボメニューの開発にあたって自身もリブレを装着して過ごし、「今の生活が糖質にあふれている」ことを実感。

今や言葉としてすっかり定着したロカボ。ただ低糖質である、こと以上の魅力はどのように出していくのか。

「ロカボだけじゃない、付加価値がこれからは大事になってくると思います。ここでしかないロカボ、みたいなものが体験として意味が出てくる。湯河原でいえば、歴史ある街並みに代表する日本的情緒、泉質の優れた温泉、そして地の食材ですね」
代表の小松秀彦さんは、そう話しながら続けた。「この旅館でいえば、さらに静謐と贅沢、という一見真逆のような組み合わせが魅力にもつながってくるんじゃないかと思います。食でいえば、シンプルで料理を引き立てる器と料理の細部をケチらないこと。この両方が揃うから、人は惹きつけられるんだと思います」。

常に変わらずそこに在り続ける“石”と、季節によって移ろい変わりゆく“葉”という相反するものの調和に由来する「石葉」らしい、他では味わうことのできない朝食だった。

店舗情報店舗情報

石葉
  • 【住所】神奈川県足柄下郡湯河原町宮上749
  • 【電話番号】0465-62-3808
  • 【営業時間】チェックイン:15:00~、チェックアウト:~12:00
  • 【定休日】無休
  • 【アクセス】JR「湯河原駅」より車で10分

撮影:阪本 勇 文:折敷出 陸(編集部)

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