
前回に引き続き、今回もテーマは「痛風」。痛風を引き起こす原因となる、プリン体を多く含む食品やアルコール類とはどうつき合っていけばいい?健診で尿酸値が高めといわれたけれど、なにかできることは?食いしん坊ゆえの心配を、食いしん坊倶楽部メンバーで医師の三浦雅臣さんにうかがいました。
痛風のメカニズムについては、前回お話ししたとおりです。体内でつくられた尿酸を尿としてスムーズに排出することができれば、痛風は起きません。ではそうするためには、何に気をつければよいのでしょうか。
dancyu読者の多くは酒飲みで食いしん坊でしょうから、心配されるのは、アルコールはやめた方がいいのか、タラコやイクラ、白子などの魚卵系や、レバーなどの内臓系、エビやタコなどの魚介類など、プリン体を多く含むといわれる食品を食べてもいいのかどうかというところが一番の心配ごとかと思います。
まずアルコールです。アルコールはプリン体の生成を促し、さらに尿酸が排出されるのを抑制する働きを持つといわれています。お酒を飲むときは、プリン体を含む食品などを、おつまみとしてつい食べてしまうということも、デメリットとしてあげられるでしょう。さらにお酒を飲み過ぎれば、カロリーオーバーを引き起こし、肥満に直結します。肥満は高尿酸血症はもちろん、そのほかの生活習慣病を招く大きな要因に……という悪循環を引き起こします。
つまりプリン体ゼロのビールを飲んでいても安心できるわけではありません。焼酎やウイスキーはプリン体が含まれないといわれていますが、アルコールが痛風に悪い理由は、含まれるプリン体だけではないのです。
しかしながら、痛風を起こさないためにアルコールをやめるほどの必要はないと私は考えています。飲むのをやめれば痛風が起きないかというと、前述の通り体質、遺伝も大きく関わりますので、それほどの効果は見込めません。過剰な飲酒は論外ですが、飲み過ぎなければOKです。飲酒の適正量については、以前の記事(【お酒は本当に体に悪い?楽しく飲み続けるためにはどうすべきか】)で解説していますので、参照していただければと思います。
プリン体を多く含む食品も、食べ過ぎれば悪影響なのは明らか。体内で合成される尿酸が7~8割とはいえ、2~3割は食品から入ってくるわけです。健診で尿酸値が高いといわれているとか、すでに痛風を発症しているなら、レバーや白子などを大量に食べるのは避けておいた方がいいでしょう。ただし、こうした内臓系や魚卵系の食品は、毎日大量に食べるものではありませんから、たまにレストランで食べるくらいであれば、そこまで神経質に制限しなくてはならないものではないと思っています。むしろ、さまざまな食材からいろいろな栄養素をとる方が大事。きびしく制限してしまうと、鉄やたんぱく質が不足してしまうこともあるかもしれません。
ほうれん草やしいたけ、カリフラワーなどの野菜もプリン体の多い食材としてあげられることがありますが、排除してしまえば、これらの野菜が含むそれ以外の栄養素をとれない、決まった野菜しかとらないことで栄養素が偏るということにつながります。尿酸が溶けやすくなるよう、尿をアルカリ化するためにも、野菜は大事です。何事も制限しすぎはNGということ。食事の楽しさも半減します。前回お話ししたとおり、痛風は体の限界を知らせるサインととらえ、極端な食生活を見直すきっかけになればよいのです。

私が痛風の患者さんや、痛風が不安な人にアドバイスするとしたら、アルコールやプリン体を含む食品を控えることよりも「水分摂取」が効果的であるとお伝えします。たくさん水分をとって、尿をたくさん出して尿酸を排出することが大事です。
水分はミネラルウォーターでもいいし、麦茶などでもよいでしょう。アルコールやカフェインの強い飲みものの場合は、利尿作用で逆に体内の水分が持っていかれることになりがちですから、そこそこに。アルコールを摂取するときに同量程度の水を一緒にとるとよいということは、以前の記事でもお伝えした通りです。ジュースなどは、果汁100%であっても甘いものはカロリーオーバーを招き、肥満の原因になりますので、要注意です。
運動に関してですが、激しい運動は尿酸値を上げることがあります。運動するなら、ウォーキングなどの適度な有酸素運動をおすすめします。
痛風が気になる人、体質や遺伝によりその可能性が高い人は、定期的に健診を受けて、尿酸値をチェックしておきましょう。薬での治療も可能ですし、うまくコントロールしていくために大事な指標となります。そして痛みが出てしまったら、まずは病院に行って、薬を処方してもらいましょう。一刻も早く痛みを抑えて体の状態を整え、うまくコントロールしていくことを優先してください。
先生東京大学医学部附属病院 糖尿病・代謝内科 助教。2014年東京大学医学部医学科卒業。2021年東京大学大学院医学系研究科博士課程修了・卒業。糖尿病や肥満症の研究を専門に、最近では老化や睡眠、味覚についても探究を深める日々。
編集:出口雅美(maegamiroom) 文:久保木 薫 写真:Shutterstock