いい店見つけた!
白飯が進みまくる!魔性の肉おかずが胃袋を掴んで離さない、松陰神社前「中華立波」で至福の中華を味わう

白飯が進みまくる!魔性の肉おかずが胃袋を掴んで離さない、松陰神社前「中華立波」で至福の中華を味わう

編集部が注目する、おいしくて居心地のいい店をご紹介する連載「いい店見つけた!」。第7回目は、ガツッとした肉おかずが胃袋を掴む松陰神社前の「中華立波」です。

松陰神社前に誕生した、毎日でも通いたくなる町中華

洒落たカフェや人気のブーランジェリー、居酒屋にビストロなどなど、気の利いた小体な飲食店が点在する世田谷線の松蔭神社前。雑多ながら、どこか品の良さが漂うこの商店街に、昨年7月オープンしたのがここ「中華立波(たちなみ)」だ。

主人の立波右恭(たちなみ・うきょう)さんは岩手県出身で、甲子園出場の経験もある元高校野球球児。だからだろうか、旨くて安い料理の数々は、まるで高校球児の食事並みにボリュームたっぷり。単品中心のメニュー構成は、毎日でも通いたくなる町中華の魅力にあふれている。

店内
松陰神社前駅から商店街を南に3分ほど進んだところに店はある。店内はテーブルが中心で14席ほど。

大学を卒業後、一旦は大手一流企業に就職した立波さんが料理の道に進んだのは、東十条の中華料理店「自由軒」でのアルバイトがきっかけだった。「一見、町中華風なんですが、料理は本格的。一心に鍋を振る姿がかっこよくて。自分がつくる料理でお客さんを幸せにできるなんて料理人っていい仕事だな、とこのとき、思ったんです。」とは立波さん。

そこで、スッパリとサラリーマンを辞め、中華メニューが本格的な都内の人気定食店で二年修業。その後、祖師谷大蔵の「洋食まかべ」やオム炒飯でおなじみの荻窪「啓ちゃん」などで腕を磨き、独立を果たしたというわけだ。

店主の立波さん
店主の立波さん。営業時には兄の恭兵さんと二人で店を切り盛りする。

定番もオリジナルも、目白押し!

真っ白な暖簾をくぐり、中に入れば壁にかかった黒板メニューにまず目を引かれる。“肉焼売“に“焼餃子“、“麻婆豆腐”や“回鍋肉”、“ニラレバ”もあれば“海老チリソース“に“中華そば”。おなじみの町中華メニューがずらりと並ぶ。なかには“ピータン柚子味噌”、“立波ニ.五郎麺”、“イチローカレー”といった遊び心のあるオリジナルもあり、食いしん坊ならずともそそられること必至。

カンバン
料理は定番のものがほとんどだが、日によってつまみが替わったり、麻婆豆腐のチーズが変更になったりする。

中華そばに餃子、或いは麻婆豆腐にご飯と単品料理で定食スタイルを楽しむ一人客も多いそうで、立波さんによれば、最近人気を集めているのは“木須肉”(ムースールー)。本来は山東料理の一品(ひとしな)で、平たく言えば“キクラゲと豚肉の卵炒め”。炒めた溶き卵を金木犀の花に見立てたのが、その名の由来だという。キクラゲのこりこり感と炒めた卵のふわふわ感の対比が持ち味の料理だけに卵の火入れ加減が肝となる。立波さん曰く「卵のふわふわは、油の量と焦げ目がつかないようにすることが肝心。両面を返しながら火入れするのですが、このとき、中を半熟に仕上げるイメージで、(卵に)火が入りすぎないよう気をつけています」。

味付けは、オイスターソースと醤油などのほか、豆板醤と豆豉を加えてコクを出し、隠し味にほんの僅かの酢をプラス。旨味を引き締めている。具も大胆!たっぷり入った豚肉に店の良心が伺える。

木須肉
たまごのとろっとした食感の残し具合が絶妙。とろっ、ふわっ、こりっなど、多彩な食感が口の中で繰り広げられる。1,100円。

秘伝のタレが秀逸な“黒酢豚”

大胆といえば、酢豚も決して負けてはいない。漆黒の肉塊がうず高く積み上げられた“黒酢の酢豚”は見た目も豪壮。一個一個のカットが実に大きく、威風堂々とした佇まいに圧倒される。岩石のようなその塊は豚の腿肉。食べごたえも充分だ。

が、「肉よりタレのほうに原価をかけているんです!」と語る立波さんの言葉通り、黒光りするタレが秘伝の味。甘味と酸味のバランスもよく、カリッと揚がった豚肉に程よくからむ。タレの詳しいレシピは企業秘密だが、醤油をベースに酒が2種、酢と砂糖はそれぞれ3種ずつを用いることで味に深みを持たせている。

黒酢豚
美しく黒光りする黒酢豚。肉はゴロッと大きめにカットされており、濃厚にからんだタレと、噛むほどにあふれる肉汁がたまらない。1,700円。
パオ
パオ200円は、黒酢豚を頼むならマストで頼むべし!蒸したてふわふわの生地が優しく酢豚を包み込み、カリッフワッ食感の妙を楽しめる。

白飯をかき込まずにはいられない!

残ったタレは饅頭(別料金)につけて食べてもよし、白飯ともよく合うが、よりご飯を呼ぶのは、何と言っても“にくにんにくにく“だろう。舌を噛みそうなネーミングだが、つまりは豚生姜焼きのにんにく版。見るからにがっつりとした男飯だが、これがまた憎いほど白飯に合う。

「小さい頃から家庭で親しんできた焼肉のタレの味を参考にした」そうで、立波さんによれば、その焼肉のタレは岩手県では各家庭に必ずあると言われるほどメジャーなもの。りんごの甘酸っぱさとコクのある黒酢の酸味、そしてパンチの効いたにんにくの風味が豚の脂身と相まって旨さ倍増。ご飯にくるみ、肉飯スタイルで食せば、箸が進むこと請け合いだ。

にくにんにくにく
声に出して言いたくなるメニュー名、にくにんにくにく。甘辛の味付けににんにくの旨味がしっかり加わり、ご飯をかきこみたくなること間違いなし。ご飯は通常のオーダーで写真の山盛りサイズが出てくる。にくにんにくにくは1,350円、ご飯はスープとセットで200円。

客の7割がオーダーする名物チャーハンとは

とは言え、ここで忘れてならないのが名物の通称“オムチャーハン”。焼豚チャーハンのオムのっけである。黄金色に輝く卵の炒め加減の巧みさは、既に木須肉で実証済み。チャーハン自体は、具も焼豚、長ネギ、卵にナルトとシンプルながら、ややしっとり系の炒め加減がトロトロのオムレツと見事な一体感を見せる。客の7割がオーダーするというのも頷ける美味しさだ。ご飯も400gとまさに合宿飯並みのボリュームも好感度大。ちなみにチャーハンのトッピングは、オムレツ単品のほか、紅生姜とオムレツ(写真)、オムレツとチーズ(これも美味しそう)など4種類ほどが揃っている。

オムチャーハン
ご飯は400gとしっかりあるが「女性お一人でも結構ぺろっと召し上がります」とは立波さん。たっぷり入った紅生姜の酸味のおかげでぐいぐい食べ進んでしまう。1,200円。

オープンして半年余り、1人でサクっと食べて席を立つ客もいれば、熟年夫婦の姿あり、若者のグループ客ありと実にさまざま。もちろん家族連れも大歓迎と、早くも地元客で賑わう。町中華のスタンスは持ちつつも、それだけにとどまることなく、本格的な中華メニューや洋食アイテムも取り入れていきたいと思いを描く立波さん。“令和の町中華“のこれからに期街したい。

店舗情報店舗情報

中華立波
  • 【住所】東京都世田谷区若林3-17-5
  • 【電話番号】なし
  • 【営業時間】11:30~13:40(L.O.) 17:30~21:30(L.O.) 日曜は20:30(L.O.)
  • 【定休日】月曜、火曜
  • 【アクセス】東急世田谷線「松陰神社前駅」より3分

文:森脇慶子 撮影:伊藤菜々子

森脇 慶子

森脇 慶子 (ライター)

高校時代、ケーキ屋巡りとケーキづくりにハマってから食べ歩きが習慣となり、初代アンノン族に。大学卒業後、サンケイリビング新聞社で働き始めたものの、早々に辞めて、23歳でフリーとなり、食専門のライターとして今に至る。美味しいものには目がなく、中でも鮎、フカヒレ、蕎麦、スープをこよなく愛している。

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