
「dancyu食堂」では本誌秋号と連動した特別メニュー“宮城女川産鮭ときのこの焦がし醤油バター定食”を9月10日から期間限定で提供します。ぜひ、バターが引き立てる秋の味覚を味わいにご来店ください!
暦の上ではすっかり、食いしん坊の心が躍る秋。今年はさすがに猛暑でバテたという人も、本誌秋号の“バター”特集を読めばきっと、食欲を取り戻すはず!達人のバターの使いこなし術は自宅のキッチンで実践していただくとして、「dancyu食堂」でも“秋の味覚×バター”の魅力を味わっていただける定食をご用意した。お届けするのは“宮城女川産鮭ときのこの焦がし醤油バター定食”だ。
ご覧ください、このふっくら照り照りの鮭を!舞茸、椎茸、しめじの3種のきのこの旨味がからんで、さらにおいしさがマシマシに。そこへホクホクのさつまいもまで加わって、ほっとする甘味がいいアクセントになっている。
そんな個性豊かな秋の味覚のハーモニーのまとめ役が“バター×焦がし醤油”。バター醤油というだけでもテッパンのおいしさなのだが、“焦がし醤油”で香ばしい風味を上乗せすることで、さらに白いご飯に合う味になっているのだ。
そこで今回は、「dancyu食堂」ならではの“バター×焦がし醤油”の味つけの秘密を、料理長の佐藤正光さんに教えてもらうことに。実はこの“焦がし醤油”、味つけする際に醤油をそのまま加えて焦がすのではなく、あらかじめ火を入れることで焦がしておくのだという。
「醤油は焦げやすいので、鍋肌に当たって苦味がでてしまうことがあるんですよ。そこで、ちょうどいい香ばしさにするために、先に焦がし醤油をまとめて仕込んでおきます。コツは、酒を加えること。自宅でつくってみたいという人は、醤油と酒を3対1程度の割合で合わせて、鉄かステンレスの鍋に入れて中火にかけたら、酒の分だけ煮詰めればOKです」
なんと、これは手軽に取り入れられそうなワザ!実際に使い方も見せてもらったところ、片栗粉をふって焼いた鮭、きのこ、蒸したさつまいもを米油で炒め合わせたあとに、この焦がし醤油を手早くまわしかけていた。
ところで、肝心のバターの出番はいつ?と思っていたら、ここでラスボス登場!香り立つ鍋に手早く投入すると、焦がし醤油がトロッと乳化して、つややかに。「最初からバターで炒めるのではなく、仕上げに加えるのもポイント」と佐藤さん。バターの香りを最大限にいかしながら、ほどよく火が入ることで焦がした風味もつくのだという。
実は今回の鮭と同じく、宮城県出身の佐藤さん。「鮭は故郷の大好きな食材。自宅でも何度も試作したんですが、ホントに白飯と合うなぁと思いながら食べてました!」と、ちょっぴりうれしそうな表情に。そんな佐藤さんが、さらにこの料理をおいしく食べてもらおうと添えたのが、すだちだ。
「半分ほど味わったらぜひ、後半戦はすだちをしぼって味変してみてください。レモンバターソースのような爽やかな味になって、また違った味が楽しめます。食堂でお出ししている“すだちサワー”との相性も抜群ですよ」
ああ、もうたまらない。白飯だけでなく、お酒も進んでしまうなんて……。しかも、野菜と魚をバランスよくこの定食で食べられて、一石二鳥。まだまだ暑い日が続きますが、ひと足先に秋を味わいに「dancyu食堂」へお越しください!
文:大沼聡子 撮影:岡本寿