
「dancyu食堂」では、本誌春号で紹介した“サドルバック種”の豚肉を使った特別メニュー“肩ロースの蒸し豚定食”を3月17日から期間限定で提供します。ぜひ、この味を体感すべく東京駅へ!
絶品の肉レシピ尽くしの本誌春号と連動して、「dancyu食堂」にもとっておきの豚肉メニューが登場! 今回お楽しみいただくのは本誌でも紹介した、鹿児島県のふくどめ小牧場が育てる“サドルバック種”の豚肉だ。
厨房をのぞいてみると、ほわっと湯気が立ちのぼる蒸籠(せいろ)の中に、見るからに健やかな色合いの豚肉が美しく整列していた。そう、料理長の松浦寛大さんが今回選んだのは、“蒸す”という調理法。サドルバック種ならではのおいしさは、引き締まった濃厚な赤身と甘味のある脂が一体となった、バランスのよい旨味。この特別な味わいをできるだけシンプルに堪能してもらおうというわけなのだ。
「はじめて食べたときに、放牧でのびのびと育てられた豚ならではのピュアな味わいに感動しました。今回は、この豚肉の肩ロースのおいしさをそのまま伝えたくて、ごまかしのきかない“蒸し豚”にしたんです」と話す、松浦料理長。なんと、豚肉の下味はいっさいなし。素材の良さをストレートに感じてもらいたいからなのだという。
さらに、豚の味を引き立てる縁の下の力持ちが“豆苗”だ。ふくどめ小牧場では、トウモロコシや海藻末、麦などに“納豆菌”を混ぜて自家配合した安全な餌を豚に食べさせている。そこで、“豆”つながりで選んだ豆苗を豚肉の下にたっぷり敷いたというわけなのだ。さあ、その相性やいかに……!?
蒸籠から取り出した蒸したての豚肉は、なんともいい香り。小ねぎを散らし、生姜をきかせたシンプルな醤油ダレをまわしかけたら、準備万端。「ぜひ、豆苗をお肉で包んで味わってください」という松浦料理長のアドバイスに従って、一口でパクリ!
おお、しっかりと力強く濃厚なのに、澄みきったきれいな旨味。しかも、シャキシャキの豆苗がこの旨味を受け止めて、さらに豚肉のおいしさを引き立てている。食べ進むうちに、蒸すことで溶け出した甘い脂が生姜醤油ダレと混ざり合って、極上の調味料の役割を果たしていることに気づいた。なんと奥深い味わいなのだろうか……!
もちろん、お酒にも合わないわけがない。松浦料理長が「まろやかな豚の味に合うんですよ」と話すのが“日本酒”だ。サクッと軽く飲むなら、さわやかな香りと酸味の“すだちサワー”もおすすめとのこと。
この希少な豚肉を定食で楽しめるのは今だけ。ぜひ、この感動を味わいに「dancyu食堂」へお運びください!
文:大沼聡子 撮影:岡本寿