私の行きつけ~住む町の旨い店案内~
【欲しい、京都に行きつけ】週に一度のみ営業!細麺のコシと風味は唯一無二『じんぐうみち萬樹』~料理家ウー・ウェンさんの紹介

【欲しい、京都に行きつけ】週に一度のみ営業!細麺のコシと風味は唯一無二『じんぐうみち萬樹』~料理家ウー・ウェンさんの紹介

その町の住人が長く通う店こそ、愛される名店に違いない。dancyu2025年夏号では、京都と東京の二拠点生活をする、料理家 ウー・ウェンさんに京都を案内してもらいました。

営業は土曜昼だけ。うどんとおばんざい、京都のカルチャーを味わう。

かつて祇園にあったうどんの名店「萬樹」の屋号を受け継ぐこちらは、土曜の昼のみの限定営業。ウーさんは平安神宮の界隈を散歩しながら「この時間を目掛けて行くのが、京都で過ごす楽しみの一つ」だとか。

“おうどんとおばんざい”を掲げるだけあり、まずは蕎麦前ならぬ“小麦前”で一献できる。おばんざい担当の久保田直美さん曰く「樋口農園など近隣で仕入れた旬の素材でメニューを組みます」。この日はきんぴら、鶏ハムなど5種。これからの季節は、万願寺とうがらしをはじめ、京都の夏野菜を用いたおばんざいも登場する。昼呑みに合うワインや日本酒も揃うのが嬉しい。

おばんざい
この日のおばんざいは、だし巻き玉子、サツマイモの炊いたん、ホウレン草のごま和え、きんぴら、鶏ハム。瓶ビール650円。

いっぽう、主役のうどんは「とにかく細い麺がおいしいんですよ。独特のコシと香りが堪らない」とウーさんは大絶賛。北海道産小麦と石臼挽き国産全粒粉を使い「独特の舌ざわりで、だしとなじみが良くなるように打っています」と店主の永田昌彦さん。お気に入りの刻みきつねは、細麺の主張に引けを取らないだしの味わいと、お揚げさんの風味が印象的。品のある調和がじつに京都らしい。

おばんざいと刻みきつね
おばんざいと刻みきつね1,900円。京都の老舗豆腐屋「近喜」のお揚げの上品な風味、九条ねぎの芳しさとのハーモニーを。このほか、北海道産にしんのうどんと、おばんざい2,400円など3種のセットメニューが揃う。

店を切り盛りするのは、ウーさんと親交の深い2組のご夫婦。本業が写真家、料理人、オランダスタイルのフラワーアーティスト……と皆さん職種はさまざま。それゆえ、4人の強みを生かしながら、日替わりのポップアップレストランや、人気講師のレッスンを日替わりで開催する。そのなかの土曜日が「じんぐうみち萬樹」の日なのだ。

左から、写真家の久保田康夫さん、「オランダスタイル」のフラワーアーティスト・永田淳子さん、料理担当の久保田直美さん、「じんぐうみち萬樹」店主の永田昌彦さん
左から、写真家の久保田康夫さん、「オランダスタイル」のフラワーアーティスト・永田淳子さん、料理担当の久保田直美さん、「じんぐうみち萬樹」店主の永田昌彦さん。

美術館が多数あり、文化的な雰囲気が漂う岡崎エリア。平安神宮の正面に位置する神宮道から、京都ならではの食やアート、カルチャーを発信し続けている。

店内
平安神宮から歩いてすぐの場所に店はある。開店時間の11時の予約のみ、「じんぐうみち萬樹」のInstagramからできる。

教える人

料理家 ウー・ウェンさん

料理家 ウー・ウェンさん

北京生まれ。1990年に来日。料理研究家としてクッキングサロンを主宰しながら、シンプルで体にやさしい中国家庭料理のレシピを雑誌や書籍、テレビなどで幅広く発信している。家庭では二人の子供をもつ母。最新刊は『最小限の材料でおいしく作る9つのこつ』(大和書房)。

店舗情報店舗情報

じんぐうみち萬樹
  • 【住所】京都府京都市左京区岡崎円勝寺町140
  • 【電話番号】080-7000-8385
  • 【営業時間】11:00~14:00(売り切れ仕舞い)
  • 【定休日】日曜~金曜(土曜のみ営業)
  • 【アクセス】地下鉄「東山駅」より5分
dancyu 夏号
dancyu2025年夏号
A4変型判(160頁)
2025年6月6日発売 / 1,500円(税込)

文:船井香緒里 写真:エレファント・タカ

船井 香緒里

船井 香緒里 (フードライター)

福井県小浜市出身、大阪在住。塗箸製造メーカー2代目の父と、老舗鯖専門店が実家の母を両親に持つ、酒と酒場をこよなく愛するヘベレケ・ライター。料理専門誌やカルチャー誌、ウェブなどの編集・執筆を行う。食の取り寄せサイトや飲食店舗などのキュレーションを手がけるなど、食を軸としながら縦横無尽に展開。暴飲暴食を日課とし、ジョギングとロードバイクにて健康維持。「Kaorin@フードライターのヘベレケ日記」で日々の食ネタ発信中。