
食いしん坊倶楽部のLINEオープンチャット「dancyuおやつ倶楽部」で、メンバーから寄せられた美味しいおやつをご紹介!倶楽部メンバーに「鉄板の手土産」を教えてもらいました。第9回は、フランス・アルザス地方の伝統菓子、「Taisuke Endo」の「クグロフ」です。
「ホームパーティの手土産として使われることも多いんですよ」。
そんな遠藤泰介シェフの言葉には、フランス・アルザスでの修業時代の想いが込められているのかもしれない。
日本の「ピエールエルメ イクスピアリサロンドテ」にてスーシェフ、「ザペニンシュラ東京」ショコラ部門のシェフドパルティエ、「パティスリーカメリア」のオープニングシェフなど輝かしい経歴を経て、2022年に渡仏した遠藤シェフ。アルザスの「ルレデセール パティスリーカム」での修業中、遠藤シェフにとっての“手土産”は、このクグロフだった。
「慣れないフランス生活で上手にコミュニケーションがとれなかった時に、アパートのオーブンでクグロフを焼き、プレゼントして感想を聞いたり、仲良くなるきっかけができたりと、このお菓子には助けられました。シェフから美味しいと言ってもらえた時の喜びは今でも忘れられません」
アルザス地方発祥の伝統的な焼き菓子であり、ネイティブな舌を掴んだ遠藤シェフの「クグロフ・アルザシアン」は、バターたっぷりのブリオッシュ生地に、アルザス特産のキルシュに漬け込んだレーズンを練り込み、焼成後さらにキルシュのシロップにくぐらせて仕上げたひと品。
ずっしりとした見た目からは想像もできないほど、食感はしっとり、ふんわり。キルシュの香りをまとった生地は、潜んだ空気までおいしいのである。
「Taisuke Endo」では、大・小2サイズを展開。さらに、甘いのが苦手という方への手土産には、ほどよい塩気がクセになる「クグロフ・サレ」もおすすめ。
ベーコンや玉ねぎをじっくり炒め、クルミやチーズとともに生地に練り込んで焼きあげているため、ワインのお供にも最適だ。胡桃のサクッと感、チーズのソフト感、ベーコンの香ばしさなど、全体の旨みが複雑に構成されていて、ひと口、ふた口と、手が止まらない。
文:藤井存希 写真:MURAKEN