
dancyu食いしん坊倶楽部のアンケートをもとに、スペーシア Xで販売するためのビールを、東武鉄道×コエドブルワリー×dancyuのコラボレーションでつくろうというプロジェクトが始まりました。企画会議から完成するまで、ビールづくりの軌跡をweb記事にて公開中。最終回となる今回は、完成したオリジナルビールの試飲と、命名会議の様子をご紹介します。
東武鉄道×コエドブルワリー×dancyuのコラボビールプロジェクトもいよいよ大詰め。思い返せば1月に3社の代表が人気特急列車、スペーシア Xに乗車。食いしん坊倶楽部のアンケートをもとに、スペーシア Xで飲みたい理想のビールについて話し合うところからスタートしたのでした。
会議では、江戸文化、日光杉並木街道、車窓からの景色というキーワードが登場。その結果、「旅先の土地を感じられる」「つまみと一緒に楽しめる」「ちびちびと飲みたくなる」ビールを目指して、スペーシア Xの車窓に映る杉並木を思わせる“杉の香りがするビール”をつくることになりました。
第2回の記事では、川越のCOEDO BREWERYで醸造される様子をレポート。「主役にならないビール、旅の名脇役となるビールを目指します」と話すのは醸造担当である伊藤光弥さんです。
厳選した3種類のホップと、日光の「田村材木店」にオーダーした日光産杉のフレッシュなチップを原料に、こまめに数値を測りながら丁寧に醸造していく様子にワクワク!発酵タンクに移したあとは発酵・熟成させながら、杉チップを浸して抽出する段階へ。
「ここからは未知の世界。杉チップを引き上げるタイミングが重要です」と話す伊藤さんに託して、その日の取材は終了しました。はたしてどんなビールに仕上がったのでしょうか。
3月、ビールが完成したという報告を受け、再び3社の代表がコエドブルワリーの本拠地である川越に集合しました。味を確かめつつ、名前をつけるという重大な使命があるのです。醸造担当の伊藤さんが注いでくれたビールを、まずはひと口。「おいしい!」の声が口々に上がります。
「香りがいいですね!最初はやさしい印象ですが柑橘っぽさも感じるし、最後の苦みがさわやか」とうれしそうな杉下。小金井部長も「杉の香りが突出しすぎていないのもいいですね。これは飲みやすい」とにっこり。
「雑味がなく、きれいな味わいですね。ホップも樹脂系なので、木の香りや苦みがいい感じです。杉を抽出しすぎるとえぐみが出てしまうのですが、いい塩梅でよかった」と朝霧社長の言葉を聞いて、「杉チップをいつ引き上げるか、毎日とても緊張しながらチェックしていたんです」とほっとした様子の伊藤さん。実はもともと“木のビール”をつくってみたかったとのことで、思い入れもひとしおだったよう。
当初の会議で、「旅先での食事に影響しないよう、アルコール度数は低めで」という話もあったため、小金井部長がアルコール度数を確認。「4.5%です。1杯目の『NIKKO LAGER』に続いて2杯目として飲んでいただけるような、軽い仕上がりになっているかと思います」と伊藤さん。
年始休みにスペーシア Xで家族旅行をしたという杉下は、「たしかに乗車時間に対して2杯がちょうどいい感じでした。景色を眺めながらゆっくり飲みたいし」とうなずきます。「ちびちび飲んでいるとぬるくなりますが、10度くらいでもおいしいはず。香りが立ってきて、モルトのコクを感じられるようになるので」と伊藤さん。
さて、誕生したコラボビールに相応しい名前をつけなければということで、3社が持ち寄ったアイデアをもとに相談。コエドブルワリーでは通常、色がネーミングのキーとなることから、伊藤さんが出した案は「Cedar Ale」(cedar=杉の意)や「Golden Cider」。「名前から味の印象が伝わるようでいいですね」と言いながら、小金井部長は「『NIKKO LAGER』とのシリーズ感が欲しい」「スペーシア XやNIKKOが入っているとうれしい」という東武鉄道としての思いを伝えます。dancyuからは、「NIKKO ALE」や「Cedar Kaido Beer」「Cedar Rail」など、杉並木や街道、鉄道をイメージさせる案や、ちょっとひねった「Hikari Ale」(日光の光から命名)を提出。みんなで「シンプルにCedar Aleがわかりやすいかな」と相談しているところに、朝霧社長からビールのプロならではのアイデアが。
「スペーシア Xの“X”って、やっぱり格好いいんですよ。だからね、XPAっていうのはどうでしょうか。非公式ではありますが、XPAというビールスタイルもあるんです。エクストラペールエールの略で、IPAとペールエールの間くらいの感じなので、今回のビールはおおむね該当していますし」。これには一同が「おお!」と賛同。「とはいえ、やっぱりシダーも捨てがたい」ということで、最終的に決定したのは「Cedar X PA(シダー エックス ピーエー)」。なかなか洒落たネーミングになりました。
「Cedar X PA」はスペーシア Xで販売していますが、なんと、4月12日(土)・13日(日)のdancyu祭(詳細はこちら)でもお楽しみいただけます。併せて、スペーシア Xで販売している「日光湯波おかき」と新商品の「日光たまり味噌醤油ポテトスティック」も登場!
「おかきは日光の湯波を練り込んでいます。ポテトスティックは日光で味噌・醤油・漬物の製造販売を行い、創業400年の歴史を誇る上澤梅太郎商店のたまり味噌醤油パウダーを使用。どちらも旅先をイメージさせる味なので、ぜひ併せて味わっていただきたいですね」と小金井部長。「おつまみ要らずなほどおいしい」と話していた杉下も「併せて食べてみると、やっぱり合いますね。ビールがどんどん進んでしまいます」と、またごくごく。
ぜひ、dancyu祭で「Cedar X PA」とつまみとの相性をチェックしてみてください。
文:藤井志織 撮影:赤澤昂宥