特急列車の旅を彩る、理想のビールを追い求めて。
スペーシア Xで飲みたい理想のビールをつくろう!(完成編)

スペーシア Xで飲みたい理想のビールをつくろう!(完成編)

dancyu食いしん坊倶楽部のアンケートをもとに、スペーシア Xで販売するためのビールを、東武鉄道×コエドブルワリー×dancyuのコラボレーションでつくろうというプロジェクトが始まりました。企画会議から完成するまで、ビールづくりの軌跡をweb記事にて公開中。最終回となる今回は、完成したオリジナルビールの試飲と、命名会議の様子をご紹介します。

理想のビールが完成するまで

東武鉄道×コエドブルワリー×dancyuのコラボビールプロジェクトもいよいよ大詰め。思い返せば1月に3社の代表が人気特急列車、スペーシア Xに乗車。食いしん坊倶楽部のアンケートをもとに、スペーシア Xで飲みたい理想のビールについて話し合うところからスタートしたのでした。

朝霧重治さん、小金井敦さん、杉下春子
左よりコエドブルワリー代表取締役社長、朝霧重治さん。東武鉄道営業部長、小金井敦さん。dancyu副編集長、杉下春子。会議はスペーシア X 1号車コックピットラウンジにて開催。

会議では、江戸文化、日光杉並木街道、車窓からの景色というキーワードが登場。その結果、「旅先の土地を感じられる」「つまみと一緒に楽しめる」「ちびちびと飲みたくなる」ビールを目指して、スペーシア Xの車窓に映る杉並木を思わせる“杉の香りがするビール”をつくることになりました。

COEDO BREWERY THE RESTAURANT
コラボビールが醸造されるのは、小江戸・川越にあるレストランを併設したブルワリー「COEDO BREWERY THE RESTAURANT」。東武東上線「川越駅」西口より徒歩3分。レストランの客席から、ガラス越しに醸造設備が見えるのも楽しい。

第2回の記事では、川越のCOEDO BREWERYで醸造される様子をレポート。「主役にならないビール、旅の名脇役となるビールを目指します」と話すのは醸造担当である伊藤光弥さんです。

染谷さん、伊藤さん
左は、日本酒業界から転職してきた染谷さん。右は、3社のアイデアから生まれたコンセプトをレシピにまとめ上げた醸造担当の伊藤さん。

厳選した3種類のホップと、日光の「田村材木店」にオーダーした日光産杉のフレッシュなチップを原料に、こまめに数値を測りながら丁寧に醸造していく様子にワクワク!発酵タンクに移したあとは発酵・熟成させながら、杉チップを浸して抽出する段階へ。

杉チップを投入
麦汁を煮沸した後のワールプールという工程で、ホップと共に杉チップを投入し、ビール特有の風味と杉の香りをつける。

「ここからは未知の世界。杉チップを引き上げるタイミングが重要です」と話す伊藤さんに託して、その日の取材は終了しました。はたしてどんなビールに仕上がったのでしょうか。

完成したビールの味はいかに

3月、ビールが完成したという報告を受け、再び3社の代表がコエドブルワリーの本拠地である川越に集合しました。味を確かめつつ、名前をつけるという重大な使命があるのです。醸造担当の伊藤さんが注いでくれたビールを、まずはひと口。「おいしい!」の声が口々に上がります。

ビール
厳選した3種のホップと日光産の杉チップをふんだんに使用。ほのかな杉のフレイバーと、軽やかながらもコクのある味わいが特徴。
試飲&命名会議
試飲&命名会議は、川越の新名所「りそな コエドテラス」の旧頭取室にて。旧第八十五銀行本店の建物で、国の登録有形文化財として登録を受けている築107年の建物。
りそな コエドテラス
1918年に建築された第八十五銀行(埼玉りそな銀行の前身銀行の一つ)の本店本館をリノベーションした施設。新たな産業創出や起業家育成のためのコワーキングスペースやインキュベーション施設に加え、チャレンジショップや地産地消のレストラン、ジェラートショップ等も展開。国の登録有形文化財として、今でも川越のランドマークとして多くの人に親しまれている。東武東上線「川越駅」から東武バスで約10分。

「香りがいいですね!最初はやさしい印象ですが柑橘っぽさも感じるし、最後の苦みがさわやか」とうれしそうな杉下。小金井部長も「杉の香りが突出しすぎていないのもいいですね。これは飲みやすい」とにっこり。
「雑味がなく、きれいな味わいですね。ホップも樹脂系なので、木の香りや苦みがいい感じです。杉を抽出しすぎるとえぐみが出てしまうのですが、いい塩梅でよかった」と朝霧社長の言葉を聞いて、「杉チップをいつ引き上げるか、毎日とても緊張しながらチェックしていたんです」とほっとした様子の伊藤さん。実はもともと“木のビール”をつくってみたかったとのことで、思い入れもひとしおだったよう。

朝霧社長
「樹脂系のホップと杉チップ由来の香りがポイント。木樽でつくる日本酒に慣れた日本人には、馴染みやすい風味かもしれません」と朝霧社長。
伊藤さん
「ちびちび飲んでいただきたいから、ドライになりすぎないよう甘みを少し残し、モルトのコクを出すようなレシピにしています」と醸造担当の伊藤さん。

当初の会議で、「旅先での食事に影響しないよう、アルコール度数は低めで」という話もあったため、小金井部長がアルコール度数を確認。「4.5%です。1杯目の『NIKKO LAGER』に続いて2杯目として飲んでいただけるような、軽い仕上がりになっているかと思います」と伊藤さん。
年始休みにスペーシア Xで家族旅行をしたという杉下は、「たしかに乗車時間に対して2杯がちょうどいい感じでした。景色を眺めながらゆっくり飲みたいし」とうなずきます。「ちびちび飲んでいるとぬるくなりますが、10度くらいでもおいしいはず。香りが立ってきて、モルトのコクを感じられるようになるので」と伊藤さん。

小金井部長、杉下
「最初のひと口はさわやかでしたが、じっくり味わってみると、また違う魅力も見えてきますね。ぬるくなっても苦くないのがいい」と小金井部長。「軽やかながらも飲みごたえがある。温度が上がってもおいしいから、列車でゆっくり飲むのにお薦めですね」と杉下。

さて、誕生したコラボビールに相応しい名前をつけなければということで、3社が持ち寄ったアイデアをもとに相談。コエドブルワリーでは通常、色がネーミングのキーとなることから、伊藤さんが出した案は「Cedar Ale」(cedar=杉の意)や「Golden Cider」。「名前から味の印象が伝わるようでいいですね」と言いながら、小金井部長は「『NIKKO LAGER』とのシリーズ感が欲しい」「スペーシア XやNIKKOが入っているとうれしい」という東武鉄道としての思いを伝えます。dancyuからは、「NIKKO ALE」や「Cedar Kaido Beer」「Cedar Rail」など、杉並木や街道、鉄道をイメージさせる案や、ちょっとひねった「Hikari Ale」(日光の光から命名)を提出。みんなで「シンプルにCedar Aleがわかりやすいかな」と相談しているところに、朝霧社長からビールのプロならではのアイデアが。

つまみ
日光にゆかりのあるつまみと相性抜群の味わいに仕上がった。「ミネラル感もあるから、おつまみと相性がいいはずですよ」と朝霧社長もコメント。左が「あさのポークのジャーキー」、右が「頂鱒とらっきょうのリエット」。

「スペーシア Xの“X”って、やっぱり格好いいんですよ。だからね、XPAっていうのはどうでしょうか。非公式ではありますが、XPAというビールスタイルもあるんです。エクストラペールエールの略で、IPAとペールエールの間くらいの感じなので、今回のビールはおおむね該当していますし」。これには一同が「おお!」と賛同。「とはいえ、やっぱりシダーも捨てがたい」ということで、最終的に決定したのは「Cedar X PA(シダー エックス ピーエー)」。なかなか洒落たネーミングになりました。

Cedar X PA
Cedar X PA(シダー エックス ピーエー)
【スタイル】 Woody Pale Ale
【色味】 ゴールド
【ALC】 4.5%
【副原料】 日光産の杉
【販売場所】 スペーシア X 1号車カフェカウンター「GOENCAFÉ SPACIA X」
また、4月12日(土)・13日(日)に新宿三角広場で開催されるdancyu祭にて特別に販売!

Cedar X PAはどこで飲めるの?

「Cedar X PA」はスペーシア Xで販売していますが、なんと、4月12日(土)・13日(日)のdancyu祭(詳細はこちら)でもお楽しみいただけます。併せて、スペーシア Xで販売している「日光湯波おかき」と新商品の「日光たまり味噌醤油ポテトスティック」も登場!

「Cedar X PA」「日光湯波おかき」「日光たまり味噌醤油ポテトスティック」
dancyu祭では、「Cedar X PA」と、スペーシア Xで販売している「日光湯波おかき」、新商品である「日光たまり味噌醤油ポテトスティック」を販売予定。

「おかきは日光の湯波を練り込んでいます。ポテトスティックは日光で味噌・醤油・漬物の製造販売を行い、創業400年の歴史を誇る上澤梅太郎商店のたまり味噌醤油パウダーを使用。どちらも旅先をイメージさせる味なので、ぜひ併せて味わっていただきたいですね」と小金井部長。「おつまみ要らずなほどおいしい」と話していた杉下も「併せて食べてみると、やっぱり合いますね。ビールがどんどん進んでしまいます」と、またごくごく。
ぜひ、dancyu祭で「Cedar X PA」とつまみとの相性をチェックしてみてください。

車体
スペーシア X
2023年デビューの浅草~日光・鬼怒川方面をむすぶ東武鉄道のフラグシップ特急。1号車のカフェ「GOEN CAFÉ SPACIA X」では、地域の素材にこだわった、ここでしか味わえないオリジナル商品を多数ご用意。シートバリエーションは6種類あり、企画会議を行った「コックピットラウンジ」のほか、走るスイートルームをコンセプトにした「コックピットスイート」をはじめとした個室も充実。

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文:藤井志織 撮影:赤澤昂宥