
食いしん坊倶楽部メンバー限定のLINEオープンチャットの、「日本酒」ルームのメンバーが、「自身の人生でこれぞ最高の一本!」という銘柄について語る連載。第2回は20代前半で日本酒に目覚めたかっぱさんの「人生最高の一本」です。
「山陰東郷」は、私が日本酒を好きになった大切な一本です。
出会いは21歳頃。仲良くしていたアルバイト先の先輩と京都に出掛けたとき連れて行ってもらった、つくねが美味しいご飯屋でした。
そこは日本酒、特に燗酒に力を入れている店だったようで、一度も日本酒を飲んだことのない私に「一口だけでいいから飲んでみたら?」と酒を注いでくれました。
それが、「山陰東郷」です。
当時の私は梅酒ばかりを飲んでいて、「日本酒はもっと年齢を重ねた大人が嗜むもの。私ではまだそのおいしさが理解できない」と思い、飲まず嫌いをしていました。けど、それを後悔するほどのおいしさ。日本酒と言えば、鮨や刺身のような比較的淡白なものに合わせるイメージでしたが、肉と合わせても全然負けない強い旨味に衝撃を受け、銘柄をメモして住んでいた大阪で飲める店を必死に探しました。
最終的に見つけた店で一人飲みデビューをし、蔵元が来場するイベントに参加し、店主に酒屋さんを紹介してもらって一升瓶を買い、今では家で燗をつけるまでに至りました。
現在はほかの銘柄の日本酒も飲みますが、新しい場所に行って一人で飲むときは「山陰東郷」が飲める店がないか調べてしまいます。置いてある店は私にとって、間違いなくおいしい酒と肴に出会えて幸せな時間を過ごせるからです。
先輩とはその帰りにお付き合いをはじめ、2年半ほど恋人関係でした。決していい思い出ばかりではないけれど、「山陰東郷」に出会わせてくれたことについては一生頭があがりません。
初めて飲んだときの詳しい種類はわかりませんが、初めて買ったのは「29BY 強力65% 原酒甘口にごり」でした。
文:かっぱ(食いしん坊倶楽部メンバー) 構成:編集部