とあるスタジオで芝居の稽古をするときに、松尾さんがついつい足を運んでしまうというカレー店。そこはなんとカレーもライスも食べ放題という、カレー好きにはたまらないお店で――。
墨田辺りのスタジオで芝居の稽古をするときには、休憩時間や出番がない場面の空き時間に、錦糸町駅前あたりまで足を延ばして「ヴェヌス」のカレーをしこたま食べる。
そう、ここに来るとランチは「しこたま」なのである。昼は1,200円の食べ放題で、カレーはもちろん、ライスもナンもサラダもおかわり自由なのだ。
今回はフィッシュ、野菜ミックス、オクラ、チキンの4種類が並んでいた。その4種と、ライスとサラダが取り放題なのだから、しこたま食べない手はないのだ。
フィッシュカレーは酸味もきいて旨味も強く、骨も外れやすい。滋味が茄子の中に染み込んでいて素晴らしいハーモニーを奏でる。
野菜ミックスカレー、見た目は優しそうな風情だが実はパンチがあってライスが進む。
オクラのカレーは風味が独特で、発酵した旨味のようなものを感じる。
チキンカレーは「これ一本で勝負」されてもいいのではないかと思うほどの旨さ、美味さ。
こちらのシェフは、インドのタミルナードゥ州チェンナイの出身で、数多くの名店で修行、南北のインド料理をどちらも極めているそうだ。
サラダはサニーレタスやキャベツなどを刻んであり、ボウルからトングで皿に盛ってドレッシングを自分の好みの量をかける。胡麻ドレッシングとサウザンドアイランドドレッシング風のものがあり、今回私は後者を選択した。
ライスは3回皿に盛った。チキンカレーは2杯、オクラカレーも2杯、野菜ミックスカレーとフィッシュカレーは1杯ずつ、サラダも1回おかわりをしてもう大満足を少し超えてしまった。舞台が近いので少し体重を絞ろうと思っている矢先、カレーに堪え性のない私です。
この近くに相撲部屋が多く、力士たちがこぞって通うようになったらお店は大変なのではと、要らぬおせっかいな心配をしてしまった。
カウンター内の厨房にいる料理人さんたちもにこやかで、おかわりしやすいムードが充満している。そう感じるのは私の都合なのかもしれないが。名店中の名店なのに競った感じがない自然体の店で、毎度こんなことを言うけれどご近所の方が羨ましい……。
文・撮影:松尾貴史