dancyu本誌から
dancyu7月号「ひとりでも居心地のいいおいしい店ガイド」絶賛発売中!

dancyu7月号「ひとりでも居心地のいいおいしい店ガイド」絶賛発売中!

食いしん坊のみなさん、自分の中に眠る“おいしいもの大好き心”を思いっきり爆発させて、自分自身のためだけに、レストランに行ってみませんか?dancyu7月号は「ひとりでも居心地のいいおいしい店ガイド」特集です。フレンチ、イタリアン、中華、ピッツァ、和食、鮨、ネオ町蕎麦……。とにかくおいしいものが食べたい、心をパーッと解放させたい。そんなあなたに捧ぐ、全75軒。ひとり食べ派、必見の特集です。

表紙
P14-15
P16
P38

チャーミングなひとり客

dancyu2024年7月号
都心の繁華街の路地裏に、田舎風パテや牛肉の赤ワイン煮込みがおいしい人気ビストロがありました。どんなお客さんが来るのか取材時に尋ねたところ、30~40代の男女が多いけれども「実は、ひとりで食べに来るおばあさんもいらっしゃるんですよ」とマダムがにっこり。フレンチ好きのハイカラな方かと思いきや、近所に住むごく普通のおばあさんとのこと。通りがかってふと店に入り、フランス料理は初めてだったけれど、気に入って通うようになったそうです。「小柄なので、椅子にちょこんと正座して召し上がるんですよ」とマダムが目を細めていました。20年以上前、本格的なビストロが今よりずっと少なかった時代の話です。もともとビストロはフランスの食堂ですから、近所のおばあさんがひとりで食事に来るというのは、その店が日本でも「食堂」として受け入れられた証。しかも心から気に入らなかったら、ひとりでは来ないでしょう。それは店にとってうれしいお客さんだろうな、と思いました。

別の日。女性客が多いパティスリーのカフェでひとり、大きなケーキを堪能している老紳士を見かけたとき、客の私まで何だか幸せな気分になったものでした。高齢の男性がほとんど来ない店だからこそ、その「大好き」が伝わってくる気がしたのです。自分が客層と違うなんてことは気にせず、堂々と食べたいものを楽しむ人生の先輩の姿は、実にかっこいい!

今月は“ひとり食べ”の特集です。2人以上で訪れるのが一般的なディナーの店に、ひとりで入ることに躊躇する人もいると思います。浮いてるかな?寂しい人だと思われるかな?と気になる人もいるでしょう。でも、自分の「好き」に忠実に、食べたい料理と向き合い幸せに浸っている人は、はたから見ても、とてもチャーミング。思いきり食を楽しむこと、それが何より、店の中で自分の居場所をつくる秘訣なのかもしれません。

dancyu編集長 藤岡郷子
dancyu2024年7月号
dancyu2024年7月号
特集:ひとりでも居心地のいいおいしい店ガイド
A4変型判(116頁)
2024年6月6日発売/ 980円(税込)

写真:鈴木泰介