名古屋種♀とロードアイランドレッド♂の交雑種の♀に、軍鶏♂を交配して生まれたのが伊予路しゃも。肉質は良いが飼育の生産性が低く、さらに改良研究を重ね、ホワイトプリマスロック♂と伊予路しゃも♀を交配させることで、飼育効率が改善した“媛っこ地鶏”が2002年に誕生。その後も種鶏の改良は続く。“媛っこ地鶏”の進化は止まらない。
“媛っこ地鶏”の生産者の中で、最も広い飼育環境と長い飼育期間を設けているのが『いなほ農園』。四元交配の良いとこ取りを目指した“媛っこ地鶏”は、飼育日数が短いと特徴が足りない肉になりがち。130日以上飼育の“媛っこ地鶏”は、名古屋種と軍鶏の系譜を引く素晴らしい味わい。
宇和海を望む、みかん園の廃園を整地した養鶏施設。1㎡あたり2〜3羽の自由な環境で“媛っこ地鶏”は育つ。オス・メスが同数で130日以上の飼育。立派な体躯の鶏たちが走る回る姿は、草食恐竜の群れを思わせる迫力がある。段差が多い、八幡浜のみかん園を再生しているので、養鶏場と言うより、動物園の鳥類見学施設のようだ。
豊富な日照と吹き抜ける風と土の匂い。この環境で育つ鶏はうまいに決まっている。
文:(株)食文化 萩原章史