浅草六区に、麦焼酎の特製サワーとペルーの屋台料理で楽しく飲める焼酎バーがあった──dancyu8月号「焼酎は割って楽しい!」特集内の店企画「TOKYO焼酎酒場」。記事では紹介しきれなかった、とっておきのもう1杯をおかわり!
平日週末を問わず国内外の観光客で賑わう浅草。中でも“浅草六区”と呼ばれるエリアには、食堂や居酒屋など個人経営の飲食店が軒を連ねる。“いっぷく横丁”と呼ばれる小道に入り、“うますぎて申し訳けないス!”というキャッチフレーズが有名な老舗「洋食 ヨシカミ」の数軒並びに、オープンから1年ほどの「どんまるてぃん」というスタンドバーがある。
ドアを開け、店に入るとサルサやラテンポップスが耳に飛び込んでくる。雰囲気は南米のバルのようだが、置いてある酒は本格焼酎がメインだ。
アンちゃんの愛称で親しまれる店主の大城アンドレアさんは、在日ペルー人三世。地元の焼酎バルで働くうちに、本格焼酎のおいしさにハマってしまい、九州の焼酎蔵を巡る一人旅に出たほどのめり込んだという。アンちゃんの陽気なキャラクターもあって、一見でもすっかり居心地よくなってしまう。
特集の誌面では、八丈島の麦焼酎“麦冠 情け嶋”の、店で仕込んだ焼酎前割りを紹介したが、「どんまるてぃん」には他にも飲んでおきたいメニューがある。
“どんまるサワー”と名付けられた1杯は、宮崎の麦焼酎“青鹿毛”をソーダで割り、中南米で広く使用されるキーライム(メキシカンライム)を絞って加える特製サワーだ。
青鹿毛の力強い味わいと麦チョコのような香ばしさに、キーライムのフレッシュな柑橘香とキレのいい酸味が相まって、レモンサワーとはまた違った爽快な飲みごたえ。
これに合わせるのが、ペルーをはじめ南米で広く食される“テケニョス”。チーズを小麦粉の皮に包んで揚げた、南米風揚げ餃子のような一品。他にも、ソーセージと揚げたポテトの“サルチパパ”など、ペルーの屋台料理をつまみに飲めるのが楽しい。
さらにこの店には、店主のルーツであるペルーの蒸留酒“ピスコ”も揃えている。「焼酎とピスコって、単式蒸留だったり、樽でねかさないとか、造り方が似ているんです。日本の人には焼酎をきっかけにピスコに興味を持ってもらいたいし、ペルーの人には焼酎のおいしさを広めたいです」と語るアンちゃん。焼酎とピスコと明るい笑顔で訪れる人たちを和ませるこの店は、早くも浅草の町に溶け込んでいる。
営業状況はHP(https://donmartin.tokyo/)にて確認を。
文:宮内 健 写真:阪本 勇