松尾貴史さんはずいぶんご無沙汰となっていたお気に入りの店に向かいました。久しぶりということもあり、大盛りを頼んだところ予想以上の量だったそう。果たして完食できたのでしょうか――。
7、8年ぶりに再訪。以前食べた時、「美味しかった、また来よう」と確実に思ってから、なぜか長い歳月が流れてしまった。
開店3分前に着いたが、祝日だったので一抹の不安が。「close」の札、店内に灯りは見えず。特別、祝日の時の営業についての情報が見当たらず、「やはり祝日は休みかもしれない、しかし場所柄代替案は見つかるだろう、時間までは待とう」と思っていたら、開店時間の1分前、にわかに人の気配が。はたして、突如幕のようなものが取り去られ、内側に灯が見え、ご主人がにこやかに「どうぞ!」と迎え入れてくれた。
スリランカ風の調度品や装飾がひしめく店内を見渡せる窓側の席に座って、スリランカプレートにしようかと迷った上で、「ビーフカレー」をお願いした。本格的なスパイスを使うカレー店で、インド系だとビーフを扱う店が少ないけれど、スリランカならばまずはビーフ、となることが、個人的には多い。
前回から相当時間が経っているのでライスの量がわからず、つい「大盛り」(130円プラス)にしていただいた。
テーブルのガラスの下は、本物のスパイスが敷き詰められている。
ホールのクローブ、グリーンカルダモン、シナモン、カラピンチャのリーフ、パウダーのカイエンヌペッパー、クミンなどなど、眺めているだけで退屈しない。
ランチ時のサービスなのか、認識していなかったサラダが出てきた。しっかりとした酸味のきいた、粒マスタードの風味がありがたいドレッシングのかかったサニーレタスと、程よい食感のポテトサラダ。
すぐさまビーフカレーと、日替わりのカレー、この日はにんじんと小松菜のカレーが添えられて出てきた。ライスの大盛り加減にたじろぎ、少し後悔しそうになったが、インディカ米なのでお腹にもたれることはないと楽観、勢いよく食べ始めた。
ココナツミルクの風味が強い日替わりをライスにかけて平和を感じる。
ビーフは鋭い刺激の中に、トゥナパハだろうか、ローストした深みのあるスパイスを楽しみ、スリランカプレートではないけれど、自分で混ぜて味変をしようと思い立った。
ビーフカレーのパッションを、日替わりカレーの優しさで中和させたり、単独でアクセントを楽しんだり。
ライスが半分ほどになったところで、サラダの皿に残しておいたポテトサラダをライスに乗せ、ビーフの力強さとミックスさせて深みを味わう。
気がついたら、大盛りのライスは軽く一粒残らず腹に収まった。カレー2種に美味いサラダ、大盛りのライスと、最後はデザートまで付いて1,390円、次はもっと早く来訪しようと決めた。
文・撮影:松尾貴史