前回に引き続き、高知の話です。この日は、ある「おきゃく」に参加させてもらいました。「おきゃく」とは高知独特の宴会のことで、皿鉢(さわち)料理などを用意し、お座敷遊びなどを行います。コロナ禍で開催の機会が少なくなりましたが、久しぶりの大きな「おきゃく」ということで大いに盛り上がりました! それからイタリアンに向かい、名物のパスタで締めたのでした。
この日は、料亭「濱長」に約90人が集まっての「大おきゃく」です。僕もこんなに人が集まっての「おきゃく」は久しぶりでした。料理はもちろん皿鉢料理。皿鉢料理というと大皿にいろいろなつまみを盛り込んだもの、と思っている人も多いと思いますが、大おきゃくになると、魚介のつまみや鯖寿司、唐揚げ、フルーツなどを盛り込んだ“組もの”のほか、刺身だけの皿、寿司だけの皿、素麺の皿などがずらりと並びます。
この日の“組もの”は、海老や鮎の焼き物、チャンバラ貝、鯖寿司、巻き寿司、とうもろこし、唐揚げ、あおさの天ぷら、枝豆、羊羹などがぎっしり。これを見れば分かる通り、酒のつまみだけでなく、酒を飲めない人や子供も食べられるものが必ず入ります。全員参加型の宴会料理なのです。さらに、テーブルに並べられたときに、どちらから見ても正面に盛り付けるのが基本だそうです。
そして、刺身だけの皿、鰹のたたきだけの皿、素麺の皿も並びました。「大おきゃく」では素麺も欠かせない一品で、つゆに浸けて食べるのではなく、お椀にとりわけでつゆをかけて食べます。昔から、「皿鉢料理と座布団があれば何人来ても『おきゃく』ができる」といわれるほど、内容が充実している料理なのです。
酒が進んで場が盛り上がったところで、お座敷遊びが始まりました。
「可杯(べくはい)」は、コマを回してコマが指した方向にいる人が、コマに描いてある杯で酒を飲みます。小さい順にひょっとこ、おかめ、天狗の三種類(僕が飲んでいるのが一番大きい天狗です)。そして「菊の花」は人数分の杯をお盆に裏返しておき、ひとつだけに菊の花を入れておきます。順番に杯を開けていって、菊の花を当てた人がそれまでに開いた杯の分だけ酒を飲みます。
と説明すると、アルハラ罰ゲーム的な感じがしますが、もちろん、参加するのは飲みたい人だけ。しかも、お酒があまり強くない人や酔いが回った人が当たったときには、少ししか酒を注がなかったり、周りの酒豪が代わりに飲んであげます。酔い潰れるようなことなく、みんなで盛り上がるお遊びなのです。
でも、参加する機会があって当たった場合には、飲み終えたら「ご馳走様でした!」と大きな声で言わないと「♪ごちそうさまがきこえない!それ、もういっぱい!」と歌われてさらに飲まされますので、ご注意を。
久々の「大おきゃく」で盛り上がった後は、イタリアン「バッフォーネ」へ。こちらはいろいろな料理があるのですが、全員がジェノベーゼを注文します。味が濃い地元のバジルをつかったジェノベーゼソースがリングイネにしっかりからんで美味。僕も、高知に帰って、さんざん飲み食いした後の締めによく食べに行きます。
この日も「大おきゃく」であれこれ飲み食いしたのに、バッフォーネでスパークリングワインを飲みながら前菜盛り合わせをつまみ、締めにジェノベーゼで大満足でした!
文・写真:植野広生
この日は、料亭「濱長」に約90人が集まっての「大おきゃく」です。僕もこんなに人が集まっての「おきゃく」は久しぶりでした。料理はもちろん皿鉢料理。皿鉢料理というと大皿にいろいろなつまみを盛り込んだもの、と思っている人も多いと思いますが、大おきゃくになると、魚介のつまみや鯖寿司、唐揚げ、フルーツなどを盛り込んだ“組もの”のほか、刺身だけの皿、寿司だけの皿、素麺の皿などがずらりと並びます。
この日の“組もの”は、海老や鮎の焼き物、チャンバラ貝、鯖寿司、巻き寿司、とうもろこし、唐揚げ、あおさの天ぷら、枝豆、羊羹などがぎっしり。これを見れば分かる通り、酒のつまみだけでなく、酒を飲めない人や子供も食べられるものが必ず入ります。全員参加型の宴会料理なのです。さらに、テーブルに並べられたときに、どちらから見ても正面に盛り付けるのが基本だそうです。
そして、刺身だけの皿、鰹のたたきだけの皿、素麺の皿も並びました。「大おきゃく」では素麺も欠かせない一品で、つゆに浸けて食べるのではなく、お椀にとりわけでつゆをかけて食べます。昔から、「皿鉢料理と座布団があれば何人来ても『おきゃく』ができる」といわれるほど、内容が充実している料理なのです。
酒が進んで場が盛り上がったところで、お座敷遊びが始まりました。
「可杯(べくはい)」は、コマを回してコマが指した方向にいる人が、コマに描いてある杯で酒を飲みます。小さい順にひょっとこ、おかめ、天狗の三種類(僕が飲んでいるのが一番大きい天狗です)。そして「菊の花」は人数分の杯をお盆に裏返しておき、ひとつだけに菊の花を入れておきます。順番に杯を開けていって、菊の花を当てた人がそれまでに開いた杯の分だけ酒を飲みます。
と説明すると、アルハラ罰ゲーム的な感じがしますが、もちろん、参加するのは飲みたい人だけ。しかも、お酒があまり強くない人や酔いが回った人が当たったときには、少ししか酒を注がなかったり、周りの酒豪が代わりに飲んであげます。酔い潰れるようなことなく、みんなで盛り上がるお遊びなのです。
でも、参加する機会があって当たった場合には、飲み終えたら「ご馳走様でした!」と大きな声で言わないと「♪ごちそうさまがきこえない!それ、もういっぱい!」と歌われてさらに飲まされますので、ご注意を。
久々の「大おきゃく」で盛り上がった後は、イタリアン「バッフォーネ」へ。こちらはいろいろな料理があるのですが、全員がジェノベーゼを注文します。味が濃い地元のバジルをつかったジェノベーゼソースがリングイネにしっかりからんで美味。僕も、高知に帰って、さんざん飲み食いした後の締めによく食べに行きます。
この日も「大おきゃく」であれこれ飲み食いしたのに、バッフォーネでスパークリングワインを飲みながら前菜盛り合わせをつまみ、締めにジェノベーゼで大満足でした!
文・写真:植野広生