松尾貴史のカレードスコープ
大根とサバ&チキンコルマ合いがけカレーで大満足|松尾貴史のカレードスコープ(60)

大根とサバ&チキンコルマ合いがけカレーで大満足|松尾貴史のカレードスコープ(60)

松尾貴史さんは大阪から東京への移動中に、ふと名古屋で途中下車することに。前から行きたかった店に訪れました。東京や大阪とはまた一味違うといわれる名古屋カレーの味とは――。

クリーミーだけれどしっかりとしたスパイス感

東京や大阪とは違うスパイス文化が育っている名古屋のカレー事情があると、漠然と感じてはいてもそれが何なのかは判然としていない。
その昔、東海テレビの高井一アナウンサーに教えてもらって訪問した、東桜にあった「カレーのmori」は、その独特の味わいと刺激、丁寧な深味にはまりこんで、この地に来るたびに通っていたが、閉店してしまったのは10年ほど前だろうか。店主がご高齢という事情があったと噂で聞いた。その後、誰かがレシピを受け継いだらしいという風説もあったが、消息は知れない。チェーン店とは違って、個人店が消滅してしまうと、その店のファンは「もう食べられない」という現実がなかなか受け入れられず、こんな噂を生んでしまうのかもしれない。
今回初めて伺った「あかつ亭」は、前々から気になっていた店のひとつだ。大阪から東京へ戻る途中、突発的に名古屋で途中下車して訪問することにした。
通称名駅(めいえき)の名古屋駅から歩いてみたら30分もかかってしまった。大須観音の近くなので当たり前なのだが、カレーを食べる前からいい汗をかいた。
到着したタイミングがよかったのか割りとすぐに着席できたが、私の後の人たちから並び始め、結構な人数の方が行列をなしていた。この場所には近年移転して来たようで、かつての店舗の写真がさりげなく飾られている。

写真

給仕の女性は「ポケモン」のニャースの声で知られる俳優の犬山犬子さんのような愛嬌のある声で、丁寧に優しく接客中の様子、平和な雰囲気が心地いい。
今週のカレーはAの大根とサバのカレー、Bがムング豆と春野菜のカレー、Cは白いチキンカレー(コルマ)で、私はAとCの2種がけをオーダーした。
隣のお客さんが頼んでいたので便乗して、玉子のピクルスも。

メニュー

サバの旨味は和を感じさせるスープの味と調和していて、手がかかっている雰囲気だ。
コルマは北インドの風味を感じる滑らかで優しい舌触りだ。クリーミーだけれどスパイス感は十二分に発揮している。

舞台の公演やテレビの仕事などで名古屋に来ることも多いので、再訪が楽しみだ。

外観

店舗情報店舗情報

スパイスカレー あかつ亭
  • 【住所】愛知県名古屋市中区門前町1‐15
  • 【電話番号】非公開
  • 【営業時間】11:00~14:30  金曜、土曜は18:00~21:30も営業
  • 【定休日】月曜 火曜
  • 【アクセス】名古屋市営地下鉄「大須観音駅」より6分

文・撮影:松尾貴史

松尾 貴史

松尾 貴史 (俳優、タレント、ナレーター、コラムニスト)

1960年5月11日生まれ。神戸市出身。大阪芸術大学デザイン学科卒業。 俳優、タレント、コラムニスト、“折り顔”作家など幅広く活躍。下北沢のカレー店「般゜若」(パンニャ)店主。著書に『人は違和感が9割』、『違和感ワンダーランド』、『ニッポンの違和感』(毎日新聞出版社)等がある。