仕事のため大阪・北新地に訪れた松尾貴史さん。時間に余裕があったのでホテルの近くの人気店を訪れることに。そこで味わった鳥肌が立つほどおいしいカレーとは――。
仕事の前日に大阪に入り、北新地のANAクラウンホテルに宿泊した。現場入りが午後なので、近くで早めにランチをいただこうと考えた。最寄りのカレー店を探してみると、何と100メートル余りの至近距離に人気店があるという。これは押さえておかなければと向かったが、時間を30分勘違いして、開店の25分も前に着いてしまった。
11時30分開店で、11時5分に到着したら、すでに先客が2人いて、3人目に並ぶ。程なくして私の後ろにもひとり、またひとりと続く。店内は6席のカウンターと壁際の2人席で、開店時には8人が並んでいて、そして全員が男性だった。つまり、開店と同時に、男ばかりで満席となった。
店に入ってその理由がわかったような気がした。ほとんどが常連客の様子で、お店の方はひとりで切り盛りされているのだが、それが颯爽とした美人女性だったのだ。
先の2人に続いて、「3人目の方は?」と注文を聞いてくれた。今日の日替わりが赤海老のキーマカレーだとのことで、開店以来の定番だというほろほろチキンカレーとのあいがけ(100円増し)をいただくことにした。これで1,000円、せっかくなので大盛り(100円増し)にして、合計1,100円。
北新地で、この値段はなかなかに良心的だ。すぐ近くのレストラン喫茶なら、エビカレーは1,500円だ。もちろん内容は違うだろうけれども、ありがたい設定ではないか。
海老の殻の香ばしさを強く感じる風味と、海老の濃厚な旨みの出汁が、スパイスとの相乗効果で、一口目に鳥肌が立った。
おお、相乗効果!店名の「シナジー」(相乗作用)は、そういう意味でつけられたのか、と勝手に納得。その確認は、大変に忙しくされている店主に聞く間合いも掴めずじまいだが。
ほろほろチキンカレーは骨付き手羽元の肉がするりと解けてなるほどほろほろだ。下ごしらえで少し甘みを感じるように味付けしてあるのだろうか、グレイビーとは別の層の味わいを感じ、これもまたシナジーだ。
チキンのグレイビーにだけ、カウンター上のカイエンヌペッパーを足してみたら、さらにパンチが効いて、これは癖になりそうだ。
満足していると、小さな容器でヨーグルトに品のいい甘さの蜂蜜がかけられたデザートが供された。いい感じで「整った」気がする。何ともいい按配で外に出たら、女性客が4人並んでいた。
美人目当てに男ばかり、というのは私の下衆の勘ぐりで、ただの偶然だった模様。大変失礼いたしました。
文・撮影:松尾貴史