料理とヱビスを愉しむ時間をテーマに、青森・八戸を目指す。訪ねたのは、和食居酒屋「酒菜屋(さかなや)」と和食店「素材礼讃 丹念」。太平洋に面した港町の夏は、旬を迎えた豊かな海産物であふれている。この地の美味と絶品ヱビスで、口福を存分に享受しよう。
青森・八戸の夏は、旬を迎える美味で満ちている。こと魚介類においては、豊かな水産資源を誇る日本でも有数の港、八戸港で水揚げされた新鮮なものが揃う。全国でもトップクラスの水揚げ量となるイカをはじめ、ウニや朝獲れのホヤ、水ダコなどなど。
極上の素材には、極上のビールを合わせたい。さっそく、八戸の中心街にある「絶品ヱビスの店」を目指した。
「絶品ヱビスの店」とは、ひときわ高品質なヱビスブランド樽生を提供しているお店のことで、クリーミーな泡、クリアなビール、コールドな温度を実現したヱビスが味わえる。
和食居酒屋「酒菜屋」は、地産の旬の魚介に力を入れる人気店だ。八戸市出身の店主、長峯渉さんは1994年に、「派手なことはしないけど一品ずつがきちんと価値を感じられる料理をお出ししたい」という思いのもと、自身の店を開いた。
長年付き合いのある鮮魚店から、その日のいいものを仕入れている。
さっそくヱビスを注文しよう。合わせて、ヱビスに合う料理をリクエストすると、「青森の夏はまずこれからでしょう!」と殻付きのウニに新鮮なホヤ、そしてこの時季においしさが増すという平蟹(ひらがに)をどーんと盛りつけて見せてくれた。
「今年のウニは身質がぎゅっと詰まっていていいですね。ホヤは今朝、揚がったものです。平蟹は通年獲れる蟹ですが、6月から8月はメスが卵を持ちます。うちで提供するのはすべてメス。みそと卵の味わいは、毎年食べていても目を瞠るような感動があります」
樽生ビールは、創業時からヱビスを扱っている。
その理由はこう。
「開店した28年前、プレミアムビールといえばヱビスでした。お客様には少しでもいいものを提供したくて選びました」
ビールをおいしく提供するための心構えは、独立前に「ビヤホール ライオン」で働いていたときの経験が大きい。
毎日、ビールサーバーを洗浄するのは当たり前のこと。樽の温度を測る温度計も設置し、こまやかな管理を怠らない。
「現在は、ヱビスのほかに樽生は黒ラベルも扱っています。店で提供するビールは、自分の中では親しみがあって扱い慣れたサッポロ以外に選択肢がありませんでした。ヱビスはヱビスならではの飲みごたえと深いコクがあります。はっきりした味つけの料理とは特に合いますね」
続いて向かったのは、同じく八戸の中心街にある和食店「素材礼讃 丹念」である。
旬の素材を愉しむことをテーマに、地元を中心に全国の旬の食材も扱う。八戸では数少ない天ぷらに力を入れている店で、カウンター席では薄衣をまとった揚げたてを堪能できる。そのほかにコースやアラカルトによる数々の料理で、もてなしてくれる。
樽生は、美しい琥珀色の輝きを放つ琥珀ヱビス。香ばしい薫りと深いコクが何よりの特長だ。
薄衣をまとった揚げたての天ぷらを頬張り、琥珀ヱビスをひと口。
まろやかな味わいとその後に続く深いコクが、さっくりとした天ぷらの油と混じり合い、圧倒的な食べごたえを生む。
料理長の田中英司さんは、琥珀ヱビスの魅力をこう語る。
「最初の乾杯に注文される方が多いですね。ご存じないお客様も多く、愉しんで召し上がっていただいています。コクが深く、味わいが濃厚。料理に負けず、むしろ引き立ててくれるビールです。天ぷらやステーキ、脂ののった大間産の鮪の大トロなどに匹敵する味わいですね。旨味が強く油気のある料理との相性は抜群です」
「ぜひ八戸毬姫牛(まりひめうし)のステーキとも合わせてみてください。和牛と乳牛を掛け合わせた交雑牛で、比較的手に入れやすい価格で数をいっぱい食べられるようにと青森県でつくられたブランド牛です。脂が多すぎずに適度なサシが入り、和牛の香りがあり食べごたえがありますよ」
噛みしめると、旨味の豊かな脂がしみ出てくる。琥珀ヱビスのコクがその味わいをさらに奥深いものにする。相乗するおいしさを堪能しながら、青森の美味を存分に享受した。
酒菜屋
【住所】青森県八戸市八日町22
【電話番号】0178‐46‐4556
【営業時間】17:00~22:30
【定休日】日曜
【アクセス】JR「本八戸駅」より10分
素材礼讃 丹念
【住所】青森県八戸市鷹匠小路18 金剛ビル1F
【電話番号】0178‐45‐2812
【営業時間】11:30~13:30(L.O.) 17:00~21:00(L.O.)
【定休日】日曜、月曜不定休
【アクセス】JR「本八戸駅」より13分
※お店のデータは通常営業時のものです。時節柄、酒類の提供や営業日時が変更されている場合があります。お出かけ前にご確認ください。
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文:長谷川ミヤ 写真:山出高士