駒嶺商店が瓶詰め生うにを始めたのは65年前。当初の牛乳瓶が酒カップになったのは50数年前。理由はウニがぎゅうぎゅう詰めで、取り出しにくいため。原材料はキタムラサキウニのみ(ミョウバン不使用)。ウニを食して磯焼けを防ぎ、ウニ殻は肥料となり農作物を育む。
青森県風間浦では5月から、豊かな昆布の森で育つキタムラサキウニの漁が始まる。
風間浦の海産物の製造販売でトップの駒嶺商店は、磯焼け防止活動やウニ殻の肥料事業も手掛け、資源の維持と循環にも取り組んでいる。
2代目社長の駒嶺剛一によると、65年前から瓶詰め生うにの製造販売を青森県内で始め、60年前からフェリーでウニを函館に運び、旧国鉄退職者(いわゆる、しょい子)が夜行列車で築地市場に届けていたとのこと。
まさに、駒嶺商店は 『瓶詰めうにの先駆者』 と言っても過言ではない。
駒嶺商店は衛生管理と味の品質管理を徹底している。風間浦周辺の漁協からキタムラサキウニを仕入れ、冷蔵庫で保管し、10度以下の加工水をふんだんに使い、ウニの雑味を徹底的に取り去る。
50数年前までは、牛乳瓶に詰めていたが、海水を入れないため、口が狭い牛乳瓶では取り出しにくく、現在のカップ酒に似たカップに詰めるようになった。加工水は風間浦の沖合80mの海底岩盤下から汲み上げ、濾過・殺菌した津軽海峡の海水を磨いた水。
下北半島に多く分布する真昆布を主な餌にするウニは、真昆布の上品な味と香りを卵巣と精巣にため込む。その上品な魅力を発揮するには、育った場所の海水を使って、雑味となる内臓類を除去するのが一番だ。
丼、軍艦巻き、炊き込みご飯。どんな料理でも一人90gも食べたら満足するだろう。ワンカップ180gは大人二人が満足する量だ。ミョウバン不使用で、海水に浸っているわけでもない。純度100%のウニは甘く、エグミはほとんどない。
ウニが増えるとワカメや昆布を食べ尽くし、磯焼けの原因となる。だから、適度にウニをとる事は沿岸漁業を守る上で必要だ。駒嶺商店ではウニ殻を独自の乾燥破砕方式で、焼成することなく 『大地の優』 と言う肥料の製造販売も事業化した。焼成しないからミネラル成分も自然のウニのまま。ウニが繋ぐ命の連鎖。素晴らしい取り組みだ。
鹿児島県産の黒豚肩ロース肉と羅臼産昆布を使用した秘伝のタレで造った焼き豚です。
文:(株)食文化 萩原章史