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『神林先生の浅草案内(未完)』発売!

『神林先生の浅草案内(未完)』発売!

dancyuWEBで連載していた神林桂一さんの「観光客の知らない浅草~浅草高校・国語教師の浅草ランチ・ベスト100~」「観光客の知らない浅草~浅草高校・国語教師の飲み倒れ講座~ 神林先生の浅草ひとり飲み案内」が一冊の本にまとまりました! 2021年11月15日発売!

「神林先生」とは?

自転車と男性

著者の神林桂一さんは、都立浅草高等学校の国語の教員でした。
そのため、浅草界隈のなじみの店での呼び名は「神林先生」。
下町の勤務がおおかったこともあり、浅草を中心に「食べ歩き・飲み歩き」を続けてこられました。

以下、本文より。一部略
その体験をもとに、僕はミニコミをつくり、職場に配っています。僕が通う浅草高校は、定時制高校の統廃合でできたところで、朝、昼、夜と三部制で授業を行っています。だから教員の数が多く、若い先生がたくさんいます。彼らが飲みに行くのはチェーン店ばかり。せっかくいい個人店が多い浅草にいながら、もったいない!と、独断で推薦店のランキング表をつくってみたのです。ミニコミに添えている僕の似顔絵は、生徒が描いてくれたものです。

僕は、飲み歩き、食べ歩きをするとき一人が多いのは、店の人や居合わせたお客さんと話したり、日常だけど日常じゃない時間が過ごせるから。それは僕にとって、最高の人生の学び舎なんです。

ここで紹介しているお店の数々は、あくまで僕の偏愛店です。僕はこう思うけど、あなたはどう思う?という投げかけです。同じ感想じゃなくていいんです。懐深い浅草で、どうぞ、あなたの偏愛店を見つけてくださいね。

これからますますという矢先、神林先生は突然、この世を去りました。
だから、本書『神林先生の浅草案内(未完)』は、更新されることのない途中経過の記録であり、店へのラブレターであり、浅草の食文化が垣間見られる教科書の一遍であり、観光客の知らない浅草を知る案内でもあるのです。

「観光客の知らない浅草」とは?

「浅草にいる間に行くべき店 決定版!」「浅草周辺ご飯物ランキング」「浅草周辺肉類ランキング」など、神林先生が、職場で「教務部福利厚生係」として不定期に発行していたミニコミは、16年を経て37号を発行しました。

雷門と男性

本書は、大きく分けて、「浅草ランチ・ベスト26/100」と「ひとり飲みの店ランキング11/25」から成ります。
ランチ編は、ミニコミ3枚綴りに100店を選出した「浅草ランチ・ベスト100」は、神林先生が愛車にまたがり、浅草の隅々までランチを食べ歩いた708軒より選び抜いた26軒を紹介。
ひとり飲み編は、浅草エリアで訪ねた店の数1255軒より、ミニコミで挙げたとっておきの「ひとり飲みの店」からさらに選り抜いた11軒を紹介。

神林先生独自の評価ポイントのマークを添えながら、原稿には各店の情報のみならず、その背景にある浅草という土地の歴史や、食文化史的要素を盛り込んでいます。
「観光客」だけでなく、きっと、浅草に住んでいる人でも知らないような情報が盛りだくさんです。

神林先生の浅草案内(未完)
神林先生の浅草案内(未完)
都立浅草高等学校、国語教師が愛した店と人――。
教員生活43年。食べ歩き、飲み歩き歴46年。生徒からの呼び名は「かんちゃん」。神林桂一さんは、一元的な情報に頼らず、自転車でランチに繰り出しては新店開業の気配に敏感に反応し、酒場の店主や客との会話から生きたネタを仕入れ、実際に訪ねて、食べて、飲むことで、情報を蓄積していきました。

職場の若い先生や同僚たちに、浅草の深き食文化を知ってもらうべく、愛機のワープロ「文豪」のキーボードを叩き、わら半紙に刷り出した『ミニコミ』を発行。「ランキング」と謳ってはいるものの、載っているのは偏愛店ばかり。どの店も違って、どの店もいい。
この本は、37号にわたって発行した『ミニコミ』より「浅草ランチ・ベスト100」「ひとり飲みの店ランキング」を元に、神林先生が足繁く通った店を紹介しています。

これからますます意欲的に飲んで、食べて、さらには情報発信を、と意気込んでいた矢先、神林先生は突然、この世を去りました。『神林先生の浅草案内(未完)』は、更新されることのない途中経過の記録であり、店へのラブレターであり、浅草の食文化が垣間見られる教科書の一遍であり、観光客の知らない浅草を知る案内でもあります。
神林先生の愛した浅草に足を運んでもらえたら幸いです。

B5判(200頁)
ISBN:9784833451888
2021年11月15日発売 / 1,540円(税込)

撮影:大沼ショージ、萬田康文(カワウソ)

神林桂一

神林 桂一

1954年5月26日生まれ。東京都出身。教員生活43年。食べ歩き、飲み歩き歴46年。
都立一橋高校時代から食のランキング・ミニコミを刊行(おもに職場で配布)。下町エリアを中心に酒場、定食屋、バー、和・洋・中・エスニック料理店、その他と守備範囲は広範囲に及ぶ。なかでも“お母さん酒場"には並々ならぬ情熱を持つ。
食にまつわる書籍、雑誌、テレビ番組、ランキングサイトなど、リサーチにも余念がなく、自作のデータベースには行った店・約9200軒を含む1万5000軒の食の店や食の情報が整理されている。2020年8月24日逝去。