料理とヱビスを愉しむ時間をテーマに、今回は“だし”を堪能できる料理を追いかけ、東京・葛西「幸家 義太郎」と東京・築地「魚河岸三代目 千秋」を訪ねました。片や珍しい“鰻鍋”、片や多種の魚の旨味を引き出した“うしお煮”。心身温まる料理とヱビスとの相性とは?
秋も深まり、温かい汁物のおいしさを増す頃。五臓六腑を温め、舌に、体に、しみ入るようなだしの味わいを堪能したい。その味わいが増幅するようなヱビスと一緒に。
今すぐ、だしとヱビスが織りなす口福を体感するべく、「絶品ヱビスの店」を目指した。「絶品ヱビスの店」とは、おいしい料理とともに、ひときわ、高品質なヱビスブランド樽生を提供しているお店のことで、クリーミーな泡、クリアなビール、コールドな温度を実現したヱビスが味わえる飲食店である。
「幸家 義太郎」は、全国各地の魚市場や仲卸から仕入れる新鮮で上質な魚介の料理が評判の店である。10代から会席料理で修業を積んできた坂本義太郎さんと、妻の静華さんが切り盛りする。
会席料理店で提供するような質の高い魚介を扱うも、「肩ひじ張らずに本当に旨いものを愉しんでいただきたい」という想いのもと、白衣や着物ではなく、あえてラフな居酒屋スタイルに徹している。
まずは、生ビールを。こちらで提供するのは、“琥珀ヱビス プレミアムアンバー 樽生”である。名前の通り、美しく輝く琥珀色、そしてきめ細やかで美しい泡をたたえたグラスが登場した。
香ばしい薫り、深いコク。乾燥した空気にさらされてきた喉に、ゆっくりやさしくしみわたっていく。
今晩の目当ては、“鰻鍋”なる珍しい鍋である。
鰹節と利尻産の昆布でとった風味豊かなだしに、牛蒡を加え、鱧のごとく骨切りした身の厚い鰻を投入。ふつふつと旨味が引き出されたら、三つ葉をわんさと入れ、熱々をいただく。
大ぶりの鰻の身はとろけるように柔らかく、細かく入れた切り目にもだしが入り込み、噛む度に鰻の脂とだしの旨味がしみ出してくる。
そこに、琥珀ヱビスをひと口。……合う!まろやかなコク、広がる香ばしさ、軽やかに切れていく余韻。鰻の旨味はもとより、野趣あふれる牛蒡の風味とも、とても合う!
鰻鍋の愉しみは、これだけに尽きない。旨味がしみ出たつゆに、稲庭うどんを投入。卵を回しかければ、余すことなくだしを堪能できる〆のうどんが完成。コクは深くも、重厚すぎない琥珀ヱビスの飲み口に、杯も進んでしまう。
ところで、坂本さんは、なぜ自店の生ビールに琥珀ヱビス プレミアムアンバー 樽生を選んだのだろうか?
「単純に自分が好きだから、というのが一番の理由です。僕が店を開くとき、葛西エリアで1店舗しか扱っていなかったという希少性も魅力でした。僕は、毎日、営業前に少量を味見しますし、お客様からお酒をお薦めいただく際は、必ず琥珀ヱビスをいただいています。平均すると、毎日5、6杯は飲んでいるかもしれません」
出会える機会が希少な琥珀ヱビスだが、坂本さん曰く、「お客様からは、珍しいねという声とともに、泡のきめ細かさに驚かれることが多いですね」。
料理のみならず、ヱビスのクオリティーの高さには、きっと毎日の味見が功を奏しているに違いない。
築地場外市場からすぐの「魚河岸三代目 千秋」は、漫画『築地魚河岸三代目』にちなみ、2004年に開業した料理店である。元仲卸である創業者が、この漫画の監修に携わっていたことから、漫画に登場するような料理が愉しめる店をつくろうと誕生した。開業から17年を経てもその姿勢は変わらず、四季折々の旬の魚介を堪能できる。
2005年から厨房に立つ料理長の鎌田規広さんは、入店から10年以上にわたって、前・店主とともに河岸に通い、市場の仕組みや魚の買い方、目利きの仕方を学んだ。
「素材9割」をモットーに、現在は毎日豊洲市場へ足を運んではその日のよい魚を選び、手間を惜しまず、その魚ごとの最適な食べ方で提供している。
ランチのまぐろ丼がひときわ人気の店ながら、夜のおまかせコース(6品)5,000円では、「千秋」の真骨頂ともいえる魚料理の世界にどっぷりとつかれる。
コースの内容は仕入れによって異なるが、高い人気を誇る“うしお煮”をいただいた。
うしお煮とは、「千秋」特製のだしで旬の白身魚と野菜をさっと炊いたものである。
鎌田さんは言う。
「いろんな魚のあらを叩いて細かくし、塩をしてくさみを除き、1時間30分ほどじっくり炊いてだしをとります。秋から冬になると魚の種類も増えてくるので、うちのだしも旨味を増してきます。たとえば今日なら、イトヨリ、ホウボウ、スズキ、タイなどの十数種類の魚のだしを合わせています。使うのはお酒と昆布のみ。生姜さえ入れません。毎日とっただしを注ぎ足して使います」
立ち上る湯気をよけつつ、ひと口すすってみる。黄金色に輝くだしは、一切くさみがなく、ただただ、濃厚な魚介のエキスがしみ出し、豊かな旨味が広がる。味つけは塩のみ。それだけでこんなにも奥行きのある汁になることに感服してしまう。
「うちのビールは、ヱビスビール 樽生一択!限られた店内のスペースで瓶ビールは置けないという事情もありますが、開店時からヱビスビールのみ。おいしい料理とおいしいヱビスビールなら、合わないわけないよね」
鎌田さんは、こう続けた。
「コースでお出しする魚の唐揚げや竜田揚げといった揚げ物との相性もとても評判がいいですね。あとは、鯖の干物を焼いたものなんかもね。しっかりした味わいのビールだから、脂ののった魚との相性も抜群です」
聞けば、1杯目でビールを味わい、その後日本酒を飲んでいたお客も、揚げ物が出てくると再びビールに戻り、そのまま〆ビールへと流れることがしばしばだと言う。
これから寒さが増していく季節ながら、鎌田さんはこんなふうにも語ってくれた。
「あったかい店内で、あたたかいおだしを味わって、そこに冷たいビールで喉を鳴らすというのは、寒い時季ならではの贅沢ですよね」
鎌田さんの言葉に異議なし!
がぶがぶではなく、ゆっくり、じっくり味わえるヱビスビール。温かいだしとの相性も最高なのだった。
幸家 義太郎(さちや よしたろう)
【住所】東京都江戸川区中葛西5‐18‐12
【電話番号】 03‐5878‐0240
【営業時間】17:00~21:00(L.O.)
【定休日】月曜、不定休あり
【アクセス】地下鉄「葛西駅」より4分
魚河岸三代目 千秋(ちあき)
【住所】東京都中央区築地4‐7‐5 築地KYビル1F
【電話番号】03‐3549‐3334
【営業時間】11:30~13:45(L.O.) 17:30~22:00(L.O.) ※土曜の夜は~21:00(LO)
【定休日】日曜、祝日
【アクセス】地下鉄「築地駅」より3分
※お店のデータは通常営業時のものです。時節柄、酒類の提供や営業日時が変更されている場合があります。お出かけ前にご確認ください。
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文:長谷川ミヤ 写真:山出高士