松尾貴史のカレードスコープ
スパイスの妙が楽しめる快適カフェカレー|松尾貴史のカレードスコープ⑭

スパイスの妙が楽しめる快適カフェカレー|松尾貴史のカレードスコープ⑭

散歩途中もカレー屋探索を欠かさない松尾貴史さん。今回は代々木公園付近で新しい店を発見しました。そこで出会った独自の工夫が光る魅惑のスパイス料理とは。

酒米ブレンドの軽やかライス!

ある日曜日に、代々木公園あたりを散歩していて見つけた素敵なカフェ風のスパイス料理店は、オーナーだろうか、店長さんもスタッフの方たちも、応対がすこぶる快適だ。
ペットのワンちゃんと散歩がてらに訪れるお客さんも多い様子。
もちろん、料理も非常に快適だ。チキンカリーとポークカリーの2種盛りをお願いしたが、本格派とはこのことを言うのだろうというスパイスの妙が楽しめる。
インドのスパイスと日本独自の食材を巧みに合わせた創作料理で、「どうだ」という主張をすることなくすんなりと味わえるが、口にスプーンを運ぶ都度、いちいちに感心する美味さなのだ。

カレー

脇役に、赤と緑の辛味のきいた付け合わせが2種類添えられている。
赤いほうは、パプリカ、ニンジン、マンゴーなどを発酵させて3週間かけて作る酸っぱいアチャールで、そこに辛味が加わる。
緑色のものは、青唐辛子、マスタードシード、生姜などを発酵させたもので、どちらも調味料は塩しか使わないそうだ。

ライスはバスマティライスと、何と酒米ではお馴染みの山田錦をブレンドして、大盛りを食べても食後感が軽やかなのがありがたい。
オープンな店構えなので、風が強い日などは花びらが舞い込んだり、近くの公園でフットサルに興じる歓声が聴こえてきたり、店内にどこからともなく外界と繋がっている気配があって、季節感も豊かに感じられ、得をした気持ちになる。
犬を連れた客には、彼ら専用の枠のついた「席」を組み立ててくれたりと細部まで心配りをしていて、見ているとこちらまで感謝したくなる素敵な雰囲気に包まれている店であった。

外観

店舗情報店舗情報

ヴァジ スパイス
  • 【住所】東京都渋谷区代々木5‐63‐10
  • 【電話番号】03‐6407‐0772
  • 【営業時間】11:00‐19:30(L.O.)
  • 【定休日】なし
  • 【アクセス】小田急電鉄「代々木八幡駅」より4分

文・写真:松尾貴史

松尾 貴史

松尾 貴史 (俳優、タレント、ナレーター、コラムニスト)

1960年5月11日生まれ。神戸市出身。大阪芸術大学デザイン学科卒業。 俳優、タレント、コラムニスト、“折り顔”作家など幅広く活躍。下北沢のカレー店「般゜若」(パンニャ)店主。11月に新刊『違和感にもほどがある!』が発売、その他著書に『人は違和感が9割』、『違和感ワンダーランド』(すべて毎日新聞出版社)等がある。