東京・高田馬場にある「ひなた」では、豚のランプのとんかつがとにかく旨い!午後に備えるランチタイムに、仕事上がりの労いに、いいことがあったときのご褒美に。旨いとんかつ店を知っていれば、人生は最高になる。
画期的なとんかつ屋である。豚を一頭買いしているため、ロースやヒレだけでなく、未知なる部位のとんかつの食べ比べができるのだ。しかも豚はとんかつ専用に育てられた宮城産の薬膳豚。すべては旨いとんかつのため、だ。
なかでも特筆すべきは、腰から尻にかけての赤身肉、ランプである。キメが細かく、ヒレと同じくらい柔らかい赤身には、口の中にドバッと迸(ほとばし)るたっぷりの肉汁と濃厚な旨味が凝縮されたけだけている。清らかな中に、猛々しさもある、まさに柔にして剛。ヒレとロースのいいとこ取りといった印象だ。
この薬膳豚と出会うまでに、40銘柄以上の豚を揚げて食べ比べたプロデューサーの眞杉大介さんは言う。「銘柄豚と一口に言っても、焼きに向く豚、揚げに向く豚があります。うちではとんかつに最適な薬膳豚の飼料を調整し、さらにとんかつ仕様にしています。だからどの部位を揚げても美味しいのです」。なるほど、普段はメニューで見かけないランプも旨いわけだ。
食べ方は、まずは何もつけずにそのままで。下味をつけずに揚げているのに、十分にコクと香りの主張がある。さらに塩やソースをつけると、相乗してさらに強い個性を発揮する。ここにランプとんかつ大開眼なり。
文:永浜敬子 写真:長谷川潤
※この記事の内容はdancyu2018年10月号に掲載したものです。