明日、どこに食べに行こう?
気軽に、美味しく、本場のままに「サン ヤコピーノ」|笑顔あふれるイタリアン④

気軽に、美味しく、本場のままに「サン ヤコピーノ」|笑顔あふれるイタリアン④

錦糸町にある「サン ヤコピーノ」ではイタリアの各地で14年間修業したシェフの珠玉の料理が楽しめます。各地の郷土料理で彩ったイタリア地図のような料理をぜひ楽しんでみてください。

14年+4年のイタリア愛をギュッと

料理
いか墨のニョケッティ1,580円。ニョッキより一回り小さいニョケッティは軽やかで生トマトのソースやイカ墨によくからむ。
料理
肉の3倍量の玉ねぎを徹底的に炒め、牛のスジや頬肉などとじっくり煮込む、旨味の塊のような一皿チョンチャ。1,980円。

錦糸町で、忘れかけていたイタリアの味覚の記憶が一気に蘇った。北や南、海沿いの旅先で出会った人たちの表情や心遣い、景色も一緒にだ。
そりゃそうだ。ここのメニューに並ぶ料理の一つ一つが、元吉賢一シェフの辿った14年間のイタリア修業の軌跡そのものなのだから。
たとえば魚介スープのブロデットは、中東部マルケ州のアドリア海沿いの店にいた頃に、魚介スープのコンクールで優勝した思い入れのある一皿だし、飴色に光るトスカーナの郷土料理チョンチャはフィレンツェのリストランテでスーシェフを任されていた頃、ランチに何度も通った店で惚れ込み、必死になって教わったものだ。だからここの前菜の盛り合わせは、各地の郷土料理で彩ったイタリア地図のようで、いつ来てもワクワクする。

料理
アサリやムール貝、イカなどから出る濃厚な旨味をベースに、旬の魚介類十数種でつくるスープ。深い味わいの奥行きは煮詰めたワインビネガーなどが隠し味。具を突っつくのについ夢中になる。アレアティコ100%の、同じくマルケ産ワインを添えて。2,480円。

さらに驚くのが、サービスの嘉久和かくわ純子さんもプーリアやトスカーナで4年以上修業した料理人だということ。味、人、町に魅せられた二人のイタリア生活はそれぞれ14年と4年、計18年。その濃厚な修業の日々と熱い想いがすべてに注がれている。
食べ終わると夢見心地でこう思う。「ああ、イタリアに行きたい。出会った人たちと再会して、一緒にワインを傾けたい」と。

店舗情報店舗情報

サン ヤコピーノ
  • 【住所】東京都墨田区錦糸4‐11‐7 2階
  • 【電話番号】03‐6456‐1716
  • 【営業時間】17:30~21:00(L.O.)
  • 【定休日】月曜 火曜日(月に二度)
  • 【アクセス】JR・東京メトロ「錦糸町駅」より4分

文:馬田 草織 写真:海老原 俊之

※この記事の内容はdancyu2017年11月号に掲載したものです。

馬田 草織

馬田 草織 (文筆家)

文筆家。おもに食と旅(ポルトガル多め)を書いてます。ほやと納豆とアルコール好き。cakesで「ポルトガル食堂」連載中。著書に『ようこそポルトガル食堂へ』(産業編集センター・幻冬舎文庫)、『ポルトガルのごはんとおつまみ』(大和書房)、最新刊は『ムイト・ボン!ポルトガルを食べる旅』(産業編集センター)。料理とワインを気軽に楽しむ会「ポルトガル食堂」を主宰してます。開催日程などはホームページ(http://badasaori.blogspot.jp)からどうぞ。かつて戦国武将が飲んだ珍蛇酒は、ポートワインかマデイラワインかはたまたシェリーなのか、そのあたりがずっと気になっている。