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安定の美味しさとホスピタリティー「ダル・ビルバンテ・ジョコンド」|笑顔あふれるイタリアン③

安定の美味しさとホスピタリティー「ダル・ビルバンテ・ジョコンド」|笑顔あふれるイタリアン③

白金台にある「ダル・ビルバンテ・ジョコンド」ではイタリアの老舗料理店のような安定、安心の美味しさと居心地の良さを味わえます。

100年続く老舗のようなグルーブ感

料理
いちじくは福岡産、フェンネルシード入りサラミは鹿児島産の、サラーメ・エ・フィーキ1,800円(1.5人前、価格は量による)。
料理
牛テールの煮込み“ヴァッチナーラ”下町肉屋風3,400円は、たっぷりのカカオを加えた“黒い”煮込み。黒いは旨いの法則。

行きたくなるのは、たとえば雨上がりの夜だ。庭園美術館の森を眺めるテラス席は、濡れた緑の匂いがするだろう。犬の散歩をする人、抜ける風、そこに冷えたフラスカーティ。
ローマは街の中に緑が多いと、「ダル・ビルバンテ・ジョコンド」の店長、古川裕士さんが教えてくれた。彼らの店はローマ郷土料理店。カルボナーラやアマトリチャーナ、肉の煮込みとかの定番を、2012年から続けている。
なかでもつい頼んでしまうのがカーチョ・エ・ペペである。旬の皿もあるのに、もっと具があるパスタでもよかろうに、なぜ「チーズと胡椒」。しかしキリッとした塩気のペコリーノ・ロマーノと柑橘香の黒胡椒の黄金比。それをテーブルで仕上げる、とろけるような混ぜ具合はちょっとやめられない。

料理
噛んで小麦を味わう自家製トンナレッリにローマが誇るペコリーノチーズ、黒胡椒の香り。個性ある素材をラツィオ州のさらっとしたオリーブオイルがつなぐ、シンプルだからこそ深く愛せる永久定番だ。1,600円。

セコンドあたりで席が空いたら、店内に移ってもいい。ほぼ正方形の床に圧巻の50席、高い天井に煉瓦のアーチ。縦横斜めに詰め込んだテーブルはおしゃべりの声を膨らませ、その間を肉や香草の匂いと働き者のカメリエーレたちが交錯する。いつ行っても変わらない、品質保証のグルーブ感である。「100年続く店でありたい」ああ、と腑に落ちた。どんなときもみんなをほっとさせる揺るぎなさは、イタリアの老舗のそう、それだ。

料理
国産チンタセネーゼ(!)と鹿児島産豚を掛け合わせた“幸福豚”のスティンコ・アル・フォルノ3,800円。焼き切った皮はバリッと、肉はトロリのコントラスト。

店舗情報店舗情報

ダル・ビルバンテ・ジョコンド
  • 【住所】東京都港区白金台3‐18‐1
  • 【電話番号】03‐6721‐9500
  • 【営業時間】12:00~14:00(L.O.) 18:00~21:00(L.O.) 日曜は12:00~19:00(L.O.)
  • 【定休日】月曜 第一日曜
  • 【アクセス】東京メトロ・都営三田線「白金台駅」より6分

文:井川 直子 写真:海老原 俊之

※この記事の内容はdancyu2017年11月号に掲載したものです。

井川 直子

井川 直子 (文筆家)

文筆業。食と酒まわりの「人」と「時代」をテーマに執筆。dancyu「東京で十年。」をはじめ、料理通信、d LONG LIFE DESIGN、食楽ほかで連載中。著書に『変わらない店 僕らが尊敬する昭和 東京編』(河出書房新社)、『昭和の店に惹かれる理由』『シェフを「つづける」ということ』(ともにミシマ社)。2019年4月にインディーズ出版『不肖の娘でも』(リトルドロップス)を刊行。取扱い書店一覧、ご購入方法はホームページ(https://www.naokoikawa.com)からどうぞ。