代々木公園にある「お惣菜と煎餅もんじゃ さとう」では他では味わうことのできない、唯一無二のもんじゃが味わえます。“発酵羊もんじゃ”に“鶏内臓モツ発酵揚”、強烈な旨味に酒が進むこと間違いなし!
鉄板に生地を流すと、じゅわっという音とともに羊とスパイスの香りが一気に立ち上る。焼き上がりを口に運べば、凝縮感のある羊の旨味がさく裂し、スパイスの香りが弾ける。
“発酵羊もんじゃ”は、佐藤幸二シェフがもんじゃ屋を開く際、最初に考えたオリジナルメニュー。目指したのは「ソースの味に負けない旨味」というが、食べて納得。むしろ、だしと野菜がベースの生地は、発酵の旨味を味わうのに好適。これは発明である!
ポルトガル料理店「クリスチアノ」開店時からマッサ・デ・ピメンタオン(赤パプリカのペースト)やサラミといった発酵食品づくりに取り組んできた佐藤シェフ。羊の発酵は、タイ料理の古い手法から着想を得た。まず炊いたもち米と塩、水を1カ月ほど発酵させた「もと」をつくる。そこに羊の腿肉を約1週間漬け込んで乳酸発酵させ、温度管理の下、さらに数日間発酵させる。合わせる生地も粉から自家配合し、羊に合うスパイスを贅沢に投入。おいしくないはずがない。
羊でもんじゃと発酵の好相性を確信し、発酵鶏や発酵鯛のもんじゃを次々と生み出してきた。何かにハマると歯止めがきかない佐藤シェフ。駄菓子屋の定番から究極の発酵料理へ。「さとう」でもんじゃはさらに飛躍しそうだ。
文:佐々木ケイ 写真:伊藤徹也
※この記事の内容はdancyu2019年11月号に掲載したものです。