フランスの料理だから「フランス料理」。イタリアの料理だから「イタリア料理」。中国の料理だから「中国料理」と思いきや「中華料理」ともいいますよね。そこには何か違いがあるのでしょうか?呼び方から中華に欠かせない食材の基本知識まで、ご紹介します。
中華料理と、中国料理の違いとは何か。中華料理専門ウェブマガジン「80C(ハオチー)」佐藤貴子さんに伺った。「日本の場合、中華料理は日本式、中国料理は本格的。大まかに、そう捉えられているのでは」
推測するに「中華料理」は華人(外国へ移住した中国人)に由来。アメリカのチャプスイ(とろみのある肉野菜炒め)など、華人が移住先でローカライズした料理を指す。さらに、中国由来で日本人が発展させた焼き餃子やラーメンも中華と呼ぶため「本場中国になく外国にある料理」という認識でよさそうだ。
一方で「中国料理」は、本場中国でつくられている料理のこと。しかし、本格的な料理を提供しながらも、語感のよさから「中華料理」を店名や看板に冠している店もある。
由来も定義も諸説あり、呼び名として混在しているのが現状だ。
「そら豆でつくった中国の辛みそです」と教えてくれたのは、博多「四川料理 巴蜀(ハ ショク)」の荻野亮平さん。
主な原料はそら豆(生もしくは乾燥)と赤唐辛子。そこへ小麦粉と塩、ケカビを加え熟成させる。完成品は赤色や黒色だが「仕込みたてはそら豆の黄緑色です」。発酵が進むにつれて赤、黒と変化していくという。
スーパーでもよく目にする赤い豆板醤は約8カ月~1年熟成したもの。唐辛子の辛味やそら豆の味が立つフレッシュな味わいが特徴である。
2~3年熟成した黒い豆板醤は、辛味控えめでコクがある。赤いものよりも高価で「ほとんどプロの料理人しか使っていないと思います」。
そら豆と唐辛子が収穫される夏は仕込みのシーズン。海の向こう、壺に入れられた黄緑色のそら豆が、3年後には真っ黒に熟成して来日する。
米を原料に醸造、数年熟成させた中国の酒が老酒。中でも浙江省・紹興市でつくられる地酒が紹興酒だ。省内産などのもち米と市内にある鑑湖の水を原料に、麦麹を加え3年以上熟成させる。紹興酒を名乗るには政府の認定が必要で、原材料や製法、品質の規定をクリアしなければならない。現在認定を受けているのは市内15メーカー、証のシールが目印だ。
料理に合わせる際のヒントは、その美しい琥珀色。着色などのため加えるカラメルの色だが「同じ色の醤油とは好相性。“焼き餃子に酢醤油”は紹興酒のアテに最適です」(「マツシマ」松島由隆さん)。
また、柑橘の爽やかな香りも紹興酒の甘さとベストマッチ。たとえば、砂肝と黒胡椒のレモン炒め。紹興酒初心者の皆さま、一度お試しあれ!
イラスト:かざまりさ 文:森田彩子
※この記事の内容は2017年9月号に掲載したものです。