二両だけの車両で街中を走る、どこか牧歌的な雰囲気がある世田谷線。その沿線の松陰神社前にある「肉の染谷」のメンチカツはユニークな形をしています。上品な甘味を感じる味わいは、街の味として愛されていました。
世田谷線の松陰神社前。チャリンコ行き交う商店街のおやつが、「肉の染谷」の“特製メンチカツ”。女将さんの手の形を生かした菱形になっているというエピソードにほっこり。コロッケと形で区別するという意味もある。雌黒毛和牛のすね肉と三元豚「下田さん家の豚」を7対3で合挽きに。赤身と脂のバランスのとれた楚々としたメンチは、半世紀“変わらない味”。「メンチ2、アジフライ1ね」。つっかけ履きのありふれた買い物風景にも癒やされた。
文:森本亮子 写真:徳山喜行
※この記事の内容はdancyu2019年10月号に掲載したものです。