カメラマンが、いつかまた食べたい料理
レモン、本枯節の卵かけご飯、八列とうきび|カメラマンが、いつかまた食べたい料理

レモン、本枯節の卵かけご飯、八列とうきび|カメラマンが、いつかまた食べたい料理

カメラマンの砺波周平さん。今、食べに行きたい、会いに行きたい料理はなんですか?と聞くと……。

砺波周平さんが食べに行きたいのは――。

広島・瀬戸田の片山さんのレモン

広島・瀬戸田の片山さんのレモン
広島・瀬戸田の片山さんのレモン
広島・瀬戸田の片山さんのレモン
広島・瀬戸田の片山さんのレモン
広島・瀬戸田の片山さんのレモン
広島・瀬戸田の片山さんのレモン
瀬戸内海の真ん中、広島県瀬戸田町(生口島)で低農薬レモンを栽培する片山さんご一家。 関東はまだ肌寒い時期だったにもかかわらず、瀬戸内は風が爽やかに感じるくらいに暖かかった。傾斜のある農道をしばらく歩くと、丘全体にたわわになるレモンの木々。慣れた手つきでかごいっぱいにレモンを収穫。ご自宅にもどり早速採れたてをレモンご飯と、塩レモンのチキンソテーにしてくれた。レモンとごはんをあわせることに驚きつつ、そのおいしさにもまた驚いた。取材時の数時間ご一緒しただけでだったが、お母さんの温和なお人柄と美味しい料理を時々思い出す。自由に動ける日がきたらあの風景とお母さんの味にまたいつか会いに行きたいと思う。(dancyuムック満点青空レストラン「ニッポン野菜レシピ 農家ごはん」2017年撮影)

静岡・御前崎市の本枯節の卵かけご飯

静岡・御前崎市の本枯節の卵かけご飯
静岡・御前崎市の本枯節の卵かけご飯
静岡・御前崎市の本枯節の卵かけご飯
静岡・御前崎市の本枯節の卵かけご飯
静岡・御前崎市の本枯節の卵かけご飯
静岡・御前崎市の本枯節の卵かけご飯
静岡・御前崎市の本枯節の卵かけご飯
静岡・御前崎市の本枯節の卵かけご飯
静岡・御前崎市の本枯節の卵かけご飯
御前崎漁港に上がった一本釣りの鰹を、薪の火を使いながら昔ながらの伝統製法で燻し、カビ付けと天日干しを繰り返して半年ほどかけて作る「本枯節」。家族親族総出で作業する中、当時90歳の澤入隆司さんの体に染み込んだ無駄のない動作に見惚れてしまった。気がつくと仕事を忘れて隆司さんを追いながら、たくさんの写真を撮っていた。燻される鰹を見守る彼の手が目に入った。何十年も鰹とともに燻されてきたのだろうか、木肌のような温かみのある手だった。作業場の隅で作ってくれた削りたての鰹節をのせた卵かけご飯が潮風と相まってとても美味しかった。(dancyu2017年9月号「食の絶滅危惧種」より)

北海道・三笠町の及川さんの八列とうきび

北海道・三笠町の及川さんの八列とうきび
北海道・三笠町の及川さんの八列とうきび
北海道・三笠町の及川さんの八列とうきび
北海道・三笠町の及川さんの八列とうきび
北海道・三笠町の及川さんの八列とうきび
北海道・三笠町の及川さんの八列とうきび
成人まで北海道で育った僕にとっての夏の風物詩、焼きとうきびは身近なもの。だけど、焼きとうきびの品種が実は時代とともに変わっていたことを知らなかった。スイートコーンにその座を奪われ、忘れ去られつつあった“八列とうきび”を三笠町で守り作りつつける及川善志さん。道の駅の裏でパラソルの下、娘さんが焼く塩味の八列とうきびを味わいながら幼い頃の記憶を探ってみる。この大粒で歯応えある食べごこち、食べたことあるようなないような……。「うまいべさ!」及川さんの素朴な北海道なまりに、とうきびの味は懐かしさに変わっていった。(dancyu 2017年11月号「食の絶滅危惧種」より)

写真・文:砺波周平