有元伸也さんが食べに行きたいのは――。

東京・市ヶ谷「テキサス」のダイナマイトステーキ

講師を務めている写真学校の近くにあるステーキハウス。もう10年以上、週一回は必ずこのダイナマイトステーキ（ハラミステーキ）を食してきたので、自分の中ではすっかりルーティンとなっている。特に夜間部の授業があるときなどは、夕食をとる時間がないもので、ボリュームのあるステーキで滋養をつけてタフな講義に備えている。新型コロナの影響で学校の方も現在は休校中、新学期の授業開始も無期限の延期となっているので、再開の折には真っ先にこのジャンクなお肉にカブりつきたい。

台湾・台北「林東芳牛肉麺」の牛肉麺

ここ数年、写真のイベントで年に1、2回は訪れている台北。普段はあまり外食しない方なのだが、海外滞在中は当然のように外食が中心となる。特に台北は美味しいレストランが多く、毎食のグルメを楽しんでいる。夜中まで写真談義を肴にを酒を飲み交わした帰り道、灯りも消えて静まり返った街中で、この店の周りだけはいつも夜光虫のように人だかりができていた。残念ながら店舗が移転して真新しくなり、路地裏の屋台のようなかつての風情はなくなってしまったが、とびきりの味の方は健在だ。台北でのイベントが再開されたらこの味にもぜひ再会したい。

埼玉・明覚「手打うどん大井戸」の海老穴子天付うどん

2016年に写真集を出版した際、印刷を担当してくれた会社の工場近くにあるこのお店。手打ち麺はとても長く、すする度に小麦の香りが口いっぱいに広がる。讃岐うどんのつるっとした食感よりはもっちりとした舌触り。巨大な有頭海老と穴子の天婦羅は量はすごいが、カラッと揚がっていてクドくなく非常に美味。写真集の印刷は長時間に及ぶので、大盛りを完食して午後の立ち会いに備える。現在、新作写真集の制作に取り掛かっているのだが、多くの作業が滞っている。印刷工程まで作業を進めることができた暁には、このうどんでエネルギー満タンにして、良い本を完成させる所存です。

写真・文：有元伸也