カメラマンが、いつかまた食べたい料理
ペクソルギ、フォー、パンプレート|カメラマンが、いつかまた食べたい料理

ペクソルギ、フォー、パンプレート|カメラマンが、いつかまた食べたい料理

カメラマンの上山知代子さん。今、食べに行きたい、会いに行きたい料理はなんですか?と聞くと……。

上山知代子さんが食べに行きたいのは――。

韓国のペクソルギ

韓国・景福宮のペクソルギ
韓国、景福宮(キョンボックン)で、パルサンデという女性農楽団の踊るのを撮りました。 そこに連れていってくれた現地在住の友人が、踊りがはじまる前に差し出してくれたお餅。 “ペクソルギ”というらしい。 ほんのりと甘くて、小ぶりの豆が入っている。 噛むと面白くて、また噛む。また噛む。 農楽団が地を蹴り廻る。鮮やかな桃色。砂埃。わたしはまたそこへ行きたい。 友人は今どうしているだろう。 ちなみに“ペクソルギ”は自宅でも作れるのだそう。 自由に行き来ができない今、大きな笑顔の友人と、台所で作り方を習う自分を空想しています。

神奈川・鎌倉「PHO RASCAL」のフォー

神奈川・鎌倉「PHO RASCAL」のフォー
鎌倉の、鶴岡八幡宮から海へ続く道の途中に、友人のお店があります。 「PHO RASCAL」という、とても人気のあるフォー屋さん。 目の前に出されたチキンのフォーは、いいにおいがして、美しい。 食べはじめると、とても丁寧な味がする。ただただおいしい。 わたしはお店に行って、このフォーが食べたい。 最初は喋らず、徐々にポツリと話す店主のリズムを感じながら、 このフォーが食べたい。元気だろうか、顔が見たい。

東京・永福町「木花日和」のパンプレート

東京・永福町「木花日和」のパンプレート
引っ越して一年が経ちました。 その間に、家から割と近いところに「木花日和」という、ルヴァンを卒業された方のお店が 出来ました。パンに洋梨と生ハムと、ぶどうのジャム。 口に入れると、身体が反応して瞳孔がひらくのに、なんでこんなにおいしいのか、わたしには説明ができない。 食べ終わりたくないと思う。なにかそう感じさせるひとひねりがなされて届くのだと思う。 自宅に居る時間が長くなって、自分の耳に入りきらないほどの情報が入ってこようとする。 わたしはただあのプレートを「おいしい!」と言い合いながら食べたい。 玄関先でばったり会ったお隣さんと挨拶をする、わずかな時間がたのしいと感じます。 「落ちついたら一緒に行きましょうよ。」と誘ってみようか。

写真・文:上山知代子