好き嫌いがひどい、料理が下手、メニューを決められない、食べ過ぎる……。dancyu編集長・植野が、食いしん坊倶楽部会員のあらゆる「食の悩み」にお答えします。
テイクアウト、増えましたね。いろいろなジャンルの店の料理や弁当を持ち帰れるようになりました。ただ、確かに、冷めた弁当をチンすると全体が同じように温まり、なんとなく平板なトーンになってしまいます。そこで、より美味しく味わう方法を考えてみました。
全体的に同じ温度になると単調になるので、ご飯だけ、またはおかずだけをチンしてみます(別皿に移すのがちょっと手間ですが)。そうすると、温度差によって、味わいが複雑になります。冷たいものと温かいものを口の中に入れると、味わいがより複雑になるのです(さらに細かく、温めるおかずと常温のおかずに区分けすると味わいもさらに複雑になります)。
たとえば、僕は吉野家に行くと、熱い牛丼の上に冷たいコールスローサラダをのせ一緒に食べます。これらが口の中で混ざり合うと、牛肉の旨味や甘味が浮き立ってきます。これを弁当にも応用すればいいのです。
弁当はテイクアウト用容器に入っているから味気ない、ということもあると思います。だから、プラスチックの容器から素敵な器に移し替えるだけで味わいが変わります。たとえば、洋食系の弁当なら、大き目の洋皿に盛り付けます。ご飯を真ん中に丸く盛って、そのまわりにおかずを並べ、フォークとナイフで頂けばかなりイメージが変わるはずです。和食系の弁当なら、豆皿をたくさん用意して、おかずごとに別々に盛り付ける……あ、もはや弁当ではないですね。では、曲げわっぱなど木の弁当箱に移し替えましょう。できれば、お箸も凝りたい。竹箸や江戸八角箸などがいいですね。
江戸八角箸はその名の通り断面が八角形で、先端がとがっているため、細かいものや柔らかいものでも持ちやすいのが特徴です。これで、おかずやご飯を少しずつつまみながら食べると、優雅な食事になると思います。
かつてある作家とカメラマンとで取材に行ったときのこと。電車の中で駅弁を食べたのですが、その作家は爪楊枝でご飯を一粒ずつ刺して、醤油をちょっとずつつけてつまみ、ちびちび酒を呑んでいました。真似してみたら、弁当がまったく違う食べ物のような感覚になりました。このように食べ方に変化をつける、という方法もあると思います。ただ、誰かと一緒のときは、この食べ方はやめた方がいいですね。そのときも、せっかちなカメラマンは、すごくイライラしていましたから。
また、ながらぼさんが右利きの場合、左手で箸を持って食べてみてください。食べにくいかもしれませんが、いつもと違う感覚で、神経の集中度合も変わるためか、いつもと違う味わいに感じるはずです。
他にも、環境を変える(屋外や遊園地、電車やバスの中で食べてみるなど)、一緒に食べる相手を変える、流す音楽を変えるなどいろいろな方法がありますので、いろいろ試してみてください。
そして、これから暑くなる時季ですので、食べる方もお店の方も、衛生面にはくれぐれもお気を付けください。
イラスト:横山寛多
テイクアウト、増えましたね。いろいろなジャンルの店の料理や弁当を持ち帰れるようになりました。ただ、確かに、冷めた弁当をチンすると全体が同じように温まり、なんとなく平板なトーンになってしまいます。そこで、より美味しく味わう方法を考えてみました。
全体的に同じ温度になると単調になるので、ご飯だけ、またはおかずだけをチンしてみます(別皿に移すのがちょっと手間ですが)。そうすると、温度差によって、味わいが複雑になります。冷たいものと温かいものを口の中に入れると、味わいがより複雑になるのです(さらに細かく、温めるおかずと常温のおかずに区分けすると味わいもさらに複雑になります)。
たとえば、僕は吉野家に行くと、熱い牛丼の上に冷たいコールスローサラダをのせ一緒に食べます。これらが口の中で混ざり合うと、牛肉の旨味や甘味が浮き立ってきます。これを弁当にも応用すればいいのです。
弁当はテイクアウト用容器に入っているから味気ない、ということもあると思います。だから、プラスチックの容器から素敵な器に移し替えるだけで味わいが変わります。たとえば、洋食系の弁当なら、大き目の洋皿に盛り付けます。ご飯を真ん中に丸く盛って、そのまわりにおかずを並べ、フォークとナイフで頂けばかなりイメージが変わるはずです。和食系の弁当なら、豆皿をたくさん用意して、おかずごとに別々に盛り付ける……あ、もはや弁当ではないですね。では、曲げわっぱなど木の弁当箱に移し替えましょう。できれば、お箸も凝りたい。竹箸や江戸八角箸などがいいですね。
江戸八角箸はその名の通り断面が八角形で、先端がとがっているため、細かいものや柔らかいものでも持ちやすいのが特徴です。これで、おかずやご飯を少しずつつまみながら食べると、優雅な食事になると思います。
かつてある作家とカメラマンとで取材に行ったときのこと。電車の中で駅弁を食べたのですが、その作家は爪楊枝でご飯を一粒ずつ刺して、醤油をちょっとずつつけてつまみ、ちびちび酒を呑んでいました。真似してみたら、弁当がまったく違う食べ物のような感覚になりました。このように食べ方に変化をつける、という方法もあると思います。ただ、誰かと一緒のときは、この食べ方はやめた方がいいですね。そのときも、せっかちなカメラマンは、すごくイライラしていましたから。
また、ながらぼさんが右利きの場合、左手で箸を持って食べてみてください。食べにくいかもしれませんが、いつもと違う感覚で、神経の集中度合も変わるためか、いつもと違う味わいに感じるはずです。
他にも、環境を変える(屋外や遊園地、電車やバスの中で食べてみるなど)、一緒に食べる相手を変える、流す音楽を変えるなどいろいろな方法がありますので、いろいろ試してみてください。
そして、これから暑くなる時季ですので、食べる方もお店の方も、衛生面にはくれぐれもお気を付けください。
イラスト:横山寛多