スパイスカツカレーは従来のものより軽く、胃もたれなどしないものばかり。その中でも渋谷にある「トライアングルカレー」の軽やかさには目を見張るものがあります。毎日でも食べに行きたいカツカレーをご賞味あれ!
たっぷりの光が差し込む、すこぶる居心地のいい空間で、みんなが夢中でカツカレーを食べている。「トライアングルカレー」の、いつものランチタイムの光景だ。
こちらのカツカレー、巷のスパイスカレーに見られるような突出した個性があるわけではない。だが、ビシッと決まったスパイス感の中に学食のカレーライス的な親しみやすさも感じられ、なんともクセになるおいしさだ。
シェフの荒井清成さんは、かつて腕を振るった恵比寿の人気店「グッドラックカリー」では重層的なスパイス使いで多くのカレーマニアを魅了した。しかしこのカツカレーは一転、徹底して“引き算”にこだわったという。
使用する食材は最小限。スパイスも6種類程度と少数精鋭だ。しかし、それぞれのメリハリを立たせた芳潤な香りと、鰹だしのじんわりと深い旨味が、最後の一口まで飽きさせない。おまけにカツも食べごたえ十分なのに、食後のお腹は驚くほど軽い。
「目指したのは“毎日でも食べられるカツカレー”。ガツンと主張するインパクトの強さよりも、あっさりとした食べやすさを意識しました」数日経つとまた無性に食べたくなるストレスフリーな一皿は、近辺で働く人たちの“日常食(ごちそう)”となっている。
文:井上泰佑 写真:竹之内祐幸
※この記事の内容は2019年6月号に掲載したものです。