時代を超えて愛され続ける「玉ひで」の親子丼。どんな食材がその味を支えているのだろうか。今回は鶏肉をふんわり包む卵編。玉ひで八代目主人の山田耕之亮さんに聞いてみた。「当たり前だけど、親子丼に卵は欠かせない。色が濃いとか、銘柄鶏の卵だとか、評判の卵を選べば良いと思うでしょ?実はそうじゃないんだよ」と、予想外の答えにいきなり面食らった。
「『玉ひで』の親子丼は基本的に鶏肉、卵、割下、ごはん、あしらいにねぎが入ることがあります。味を際立たせるのは鶏肉で、卵の主張が強いと『たまごかけごはん』になってしまいます」
玉ひで主人の山田さんに、親子丼に使われている卵について質問すると、ゆっくりと語り始めた。
――産地だけでも教えてもらえませんか?
――産地や鶏の品種よりも、白身と黄身の比率が重要なんですね?
「美味しい卵は、たまごかけごはんで食べれば良い。親子丼用の卵は、主張しすぎない卵が向いている」
山田さんの話は意外だった。次回は玉ひで親子丼のレシピを披露します!
――つづく。
文:鈴木桂水 写真:山出高士