dancyu本誌から
dancyu4月号「みんなのシュークリーム」絶賛発売中!

dancyu4月号「みんなのシュークリーム」絶賛発売中!

大人も、子供も、男も、女も、甘いのが好きな人もそうでない人も。シュークリームはみんなの「おいしい」が詰まった不思議なお菓子です。気取らない、格好つけない、だけどふつうにおいしい、っていちばん凄いことかもしれません。

みんなのシュークリーム

dancyu4月号
dancyu2019年4月号
ふだん、甘党を自覚していなくても、時折、むしょうに食べたくなる甘いものってありませんか。
dancyuはそれが、シュークリームではないかと考えました。

4月号の表紙を見て、誌面を繰って、「シュークリームが食べたい!」と気分が高まったら、替わりになるものはなかなかありません。
渾身のシュークリーム特集、一刻も早くご覧いただき、好みの店に急いでください!
みんなのシュークリーム
お気に入りは買って帰ろう!

男は黙って喫茶室で、シュークリーム

期待を裏切らない「レピドール」

「レピドール」のシュークリーム
「レピドール」のシュークリーム、“シュー・ア・ラ・クレーム”310円。コーヒー700円や紅茶800円、ハーブティー820円とともに。

重厚な石造りのゲートを抜け、2階へのマホガニー材の階段を上がると、清らかな喫茶室が目前に広がる。天井は高く、耳にはクラシック、目にはチャペル風のステンドグラス、そして丁寧な接客のシスター風のウェイトレスさん。ここでは高まる鼓動を落ち着けて、窓際の席を陣取ってほしい。この街のシンボルである瀟洒な旧駅舎を眺めることができる。ひととき、佳景陶酔。そう、ここは日本一のお屋敷街・田園調布なのだ。

田園調布駅の旧駅舎
田園調布駅の旧駅舎が眺められる席は、予約も可能。
「レピドール」のシュークリーム
クリームは生とカスタードを混ぜたディプロマット風。柔らかすぎず、べたっとしないのが特徴。

洋菓子店のシュークリームは、街の姿を映すもの。「レピドール」のそれはずばり大人仕様だ。シュー生地に使われる小麦粉は薄力粉のみで、口当たりは軽く、サクッとしていて心地がよい。さらにしっかり焼き込まれているので、小麦の香りを感じられる。クリームはカスタード優勢で生クリームを混ぜたもの。なめらかな口当たりに、ミルキーかつ卵黄の旨味、そこにうっすらラム酒が効いている。子供向きではない、妥協なき洗練が詰まっている。

シュークリームをいただきながら、豊かな時間を過ごす。この上質さには店のルーツが関係しているのかもしれない。初代の大島陽二さんの実家は、1634年創業の老舗和菓子店「両口屋是清」だ。兄が和菓子の道を継いだことから、自身は洋菓子の道を志すことになったという。フランスでの修業を終え、自分の店を出すときに父から「緑の多いところ、季節がわかるところにしなさい」と忠告を受け、この地を選んだ。

内観
マダム専用と思われがちだが臆することなく寛ぎたい。
外観
1973年1月開店。バタークリームも出色。開店以来の人気商品ルーローモカ310円もぜひ。

まさに先見の明。「春には桜も綺麗なんです」と当代の崇嗣(たかつぐ)さんに教えていただいた。私の今年の花見は、「レピドール」の恩恵に預かり、“田園調布でシュークリーム”と決定した。

シュークリーム
その日に販売するシュークリームは、朝に焼き上げ、仕上げる。皮は焦げる直前までしっかり焼き上げることで、粉の香ばしさを引き出している。

シュークリームを最も美味しく食べられる場所は、洋菓子店の喫茶室である。本誌では、店の文化を感じながら出来たてのシュークリームを食べられる素敵な喫茶室を紹介しています。ぜひ御覧ください。

店舗情報店舗情報

レピドール
  • 【住所】東京都大田区田園調布3-24-14
  • 【電話番号】03-3722-0141
  • 【営業時間】9:30~18:00(L.O.) 、販売は9:00~19:00
  • 【定休日】水曜
  • 【アクセス】東急東横線「田園調布駅」より1分
dancyu2019年4月号
dancyu2019年4月号
第一特集:みんなのシュークリーム
第二特集:レモンを使うのには、理由があるのだ。

A4変型 判( 176 頁)
2019年03月06日発売 / 880円(税込)

文:飯塚天心 写真:渡部健五

飯塚 天心

飯塚 天心

1974年生、兵庫県西宮市生まれ。アイドル誌「UTB」→角川アニメ・コミック事業部→Meets Regional別冊編集部を経て、何故か今はdancyu編集部出戻りな、流しの編集者。食うことはもちろん、家電、地図も好き。