見渡せば、あちらこちらにせんべい、せんべい、せんべいの看板……。江戸時代、宿場町として栄えた草加は、今や日本一のせんべいタウンだ。今週末は、パリポリ香ばしい聖地巡礼へ!
埼玉県草加市といえば、名物はせんべい。せんべい好きなら聖地へ赴き、イチからつくるところを覗いてみようじゃないか!と一念発起。本拠地に乗り込んだ。
草加駅までは、都心から東武伊勢崎線で40~50分。長旅を想像していたら、拍子抜けするほど近かった。
「獨協大学前〈草加松原〉駅」からバスで10分。到着したのは「まるそう一福」だ。本店の奥に大きな工場があり、製造工程の見学と手焼き体験ができるのである。早速せんべいづくりを見てみよう!
せんべい工場に潜入すると、待っていたのは米袋を山積みした倉庫だ。袋の中は白米ではなく玄米。
「せんべいのおいしさは、お米のおいしさ。うちのせんべいづくりは、県内の契約農家の玄米を必要な分だけ精米するところから始まるんです」とマネージャーの高橋克嘉さん。
うるち米を精米、洗米後、一晩かけて水切りしてから細かく製粉する。柏餅などに使う新粉と同じものだ。
蒸してから冷やした生地を、搗いて餅状に。職人の経験と勘が頼りの工程である。
のし機を通し、薄くのした後、円形に型抜きする。周りの生地はもう一度、のし機に通して使用。カットした生地は金網の上にのせて蒸気乾燥機へ。6時間ほどかけてしっかり乾燥させる。
乾いた生地は箱に入れ、さらに1週間ねかせる。乾燥状態は生地同士を叩いて音で判断する。
2階では生地を焼く作業が進行。目を見張ったのはその機械だ。草加せんべい独特の押し焼きが忠実に再現されていた。すごい!
ただし、火加減や火との間隔などは、生地の状態に合わせて調整が必須。機械化されても、職人の手仕事は欠かせないわけか。
醤油が香る草加は、紛れもなくせんべい好きの聖地。巡礼に繰り出せば、一層、せんべいへの愛情が深まり、香ばしい未来が開けるはずだ。
※「草加煎餅 まるそう一福」の工場見学は、手焼き体験&焼きたてせんべいの試食がついて540円。工場見学のみは150円。電話にて要予約。
草加せんべいの魅力を掘り下げた“せんべいルポ”まだまだ続きます。どうぞ本誌をご覧ください!
文:上島寿子 写真:加藤麻希