伊勢丹新宿店で売り場に立って、d酒の販売をしてきました。お客さまのあたたかい言葉に励まされ、勇気づけられた3日間でした。
今日で8日目になりました。dancyuのwebサイト、すくすく育っています。
これからも、どうぞ、よろしくお願いいたします。
この1週間、いろんなことが怒涛のごとく押し寄せてきました。
サイトの立ち上げはもちろん、d酒の販売がスタートして、日々是更新、ジャパンカップに大相撲、さらには酉の市もあって、肉体的にも精神的にも忙しい7日間でしたね。
忙しい。
この言葉を使うとき、むむっと頭の中を駆けめぐる光景があります。
20年ほど前かな。
編集者として仕事がおもしろくなりかけていた僕は、忙しぶってました。
あれもやらないと、これもしなければ、あっちもこっちも行かないと、なんて感じでね。
そんな日々を過ごしていた、ある日の夜。仕事仲間と飲んだり食べたりしながら、調子にのってぺらぺら喋っていたんですね。仕事、忙しくてね、とかなんとか。
1時間くらいが経った頃、この日、はじめて会った女性編集者が話しかけてきたんです。
「忙しそうですね」
うん。そうなんだよね。僕はまたぺらぺらと、得意気に、忙しい自慢をしたんですね。そうしたらですよ、彼女が言ったんです。
「忙しいという字は、心を亡くすと書くわけだからさ。そんなに忙しいと心を亡くしちゃうから気をつけたほうがいいよ」
えっ。そうなの?
平静をたもっている風情を漂わせながらも、気持ちはぐらぐら。鼻っ柱をへし折られちゃいましたね。
あれから、ずうっとです。忙しいという言葉を発するときは、自問したりします。心を亡くしてないかどうか、とね。
よし、大丈夫だ。そう思えたら、忙しいって堂々と口にします。
「忙しくても、おなかはへるからさ。きちんと食べないと」
彼女のそんな言葉も想い出しながら、この1週間、よく食べましたね。
dancyu web編集長 江部拓弥
写真:当山礼子