上質な鮮魚を扱う「根津松本」が祭に初参戦。その海苔弁は海苔や米はもちろん、調味料や副材、だしまで含めたすべての素材を厳選し、丁寧に調理された究極の海苔弁でした。
この海苔弁に、信じられないほどの贅が凝縮されている。
米は無肥料、無農薬で作付し、低温乾燥させた会津白虎米。常温まで冷ましても、自然な甘味がのびやかな自然栽培のコシヒカリだ。醤油は、ニシキ醤油の“法隆寺醤油”。十勝で有機農法に取り組む、折笠農場の有機大豆・有機小麦を100%使用した有機JAS認定品。海苔も大阪の「こんぶ土居」の伊勢湾産の無酸処理品。口溶けのいい支柱式の初摘み海苔を食べやすいよう、千切って散らしている。これなら海苔がベロンとはがれることはない。心配りに満ちた海苔弁だ。
魚も贅の極みである。厚岸沖の紅鮭は精妙な加減で塩を当て、優しく深い味わいに仕上げ、丁寧に焼き上げた。銀鱈の西京味噌漬けは竜田揚げにして量感を乗せた。愛知産の鯛ちくわの磯部揚げの衣には、いまや希少な香り高いスジアオノリを使う。
弁当として上質なのはもちろん、つまみとして旨く、土産にすれば家でも楽しめる。この海苔弁は贅を尽くした宝石箱なのだ。
※当日は内容や盛り付けが変更になる場合もあります。
文:松浦達也 撮影:海老原俊之