ポリシーは「フレンチ仕込みの一流の技術と材料を使い、庶民的なパンをランクアップすること!」。他にないアレンジが効いたクリームパンやメロンパンから、一流レストランと同じ食事パンまでを幅広く取り揃え、スペシャルな存在感を放つ町のベーカリー「ビーバーブレッド」。行列も珍しくない人気店のお薦めを、特別セットにして販売します!
午前8時。まだ街が目覚める前、ひっそりと静まり返った東日本橋のビル街で、裏通りにある一角だけ人があふれ、活気に満ちている。2017年11月にオープンしたベーカリー「ビーバーブレッド」だ。わずか3坪の小さな店内には、温かいオレンジ色の光に照らされたパンがぎっしりと並んでいる。グローブ型のクリームパンや、くるくると円錐形に渦巻くコロネ、ころんと丸いメロンパン。一見どこにでもある菓子パンや惣菜パンに混じって、芸術的な層を織りなすクロワッサンや、みっしりときめ細かいカンパーニュ、美しい焼き色の食パンなどが存在感を発揮し、この店のただならぬ出自を伝えている。
この店を仕掛けたのは、「銀座レカン」グループでブーランジェリーシェフを務めた割田健一さん。高級フランス料理店の食事パンを手がけてきた割田さんが、地域に密着した店づくりを目指し、これまで培った技術を生かして、菓子パンや惣菜パンづくりに取り組んでいるのだ。「銀座レカンに匹敵する技術と材料を使い、一般の人たちに親しまれるパンにひとひねり加えて、進化したパンを提供したい」と割田さん。たとえばメロンパンの表面にはレモン汁と皮で苦味を加え、複雑な大人の味に仕上げたり、明太子を挟むパンには、隠し味にそば粉を加えたりしている。
店頭に並ぶそばから売れていく人気のパンを、dancyu祭では特別にセットにして販売する。人気のパン・ド・ミ(角食パン)の生地はそのままに山型で焼き、食べやすく持ち運びも便利にアレンジした“山食パン”。北海道産スウィートコーンの粒とピュレをふんだんに使った自然な甘味の“コーンブレッド”。フランス産の有機小麦とライ麦の全粒粉を使った“カンパーニュ”は、フランスの塩を広島の藻塩をブレンドして粉の香りを引き出した、割田さんの腕が光る逸品だ。かすかなほろ苦さと酸味が心地よい大人のメロンパン“カカオニブメロン”もセットに入る。国産小麦を使い、噛めば噛むほどに味わい深い“リュスティック”はdancyu祭限定商品。風味が良く、そのまま食べるともっちり、軽くトーストすると皮はパリッと中はふんわり。一流パン職人によるゴージャスなパン土産で、翌朝もdancyu祭の余韻をお楽しみください。
文:江藤詩文 撮影:伊藤菜々子